...二十年來物堅いので近所の信用を得てゐた主人が近頃病死して...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...物堅い僕の性質が『あの人なら』という風に彼等の深い信用をかっていたのだもの...
江戸川乱歩 「恐ろしき錯誤」
...生れ落ちると物堅い武士的教育を受け...
大隈重信 「福沢先生の処世主義と我輩の処世主義」
...本屋はその飜訳をかねて昵懇(なじみ)のある物堅い牧師さんに頼んだ...
薄田泣菫 「茶話」
...東雲の二代目になる息子は、雷門の焼けた丑年生まれで、師の没せられた時は十四、五、名を栄吉(えいきち)といって後に二代東雲となりましたが、この人、気性は父に似て至って正直で、物堅い人、また甚だ楽天家でありましたが、かなり酒量の強い方の人であった...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...と物堅い調子で書いてあつた...
太宰治 「思ひ出」
...舅さんは非常に物堅い方ですから...
田中貢太郎 「荷花公主」
...物堅い壮い男の平生を知っている尼僧は...
田中貢太郎 「法衣」
...加藤の家の老人(としより)夫婦の物堅い気楽そうな年越しの支度(したく)を見て...
近松秋江 「うつり香」
...部屋は物堅い感じの野暮くさいもので...
徳田秋声 「仮装人物」
...彼女は物堅い旧家の雰囲気(ふんいき)のなかへ入って行くのを嫌(きら)って...
徳田秋声 「仮装人物」
...物堅いあなたのことですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...この物堅い大店町では...
長谷川時雨 「鬼眼鏡と鉄屑ぶとり」
...物堅い儒家に生れた彼は...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...それ程物堅い親子が揃(そろ)って来るとなると...
森鴎外 「雁」
...魯粛如きに、上座をお譲り遊ばすとは」「なぜ、ご遠慮あるか」「以前はともあれ、今はわが主君の婿君たるあなた様をおいて、臣下の私が上に坐るいわれはありません」「いや、旧交を思うてのこと、左様に謙譲にせずともよい」「でも、礼儀だけは」と、物堅い魯粛は、あくまで辞退して、横に席を取った...
吉川英治 「三国志」
...物堅いので有名な石川家のこと...
吉川英治 「松のや露八」
...あの物堅い老人ゆえ...
吉川英治 「無宿人国記」
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