...言ひ難き物の哀れを一様に味つてゐた...
石川啄木 「札幌」
...――時頼ほどの武士(ものゝふ)も物の哀れに向はん刃(やいば)なしと見ゆるぞ...
高山樗牛 「瀧口入道」
...『物の哀れ』どころではない...
田山録弥 「生滅の心理」
...物の哀れというのも安直な感傷や宋襄(そうじょう)の仁(じん)を意味するものでは決してない...
寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
...時に触れ物に応じて唯何がなしに物の哀れを覚えしむる単調なるメロデーに過ぎず...
永井荷風 「江戸芸術論」
...人生の物の哀れとか...
中里介山 「大菩薩峠」
...お松は物の哀れをはじめて見出しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...鐚も物の哀れを感じないわけにはゆきません...
中里介山 「大菩薩峠」
...物の哀れを通り越して可笑(おか)しくなるくらい...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...物の哀れを通り越して可笑しくなる位...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...物の哀れを覺えました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...物の哀れはこれよりぞ知る」という古歌を読み聞かせては...
福田英子 「妾の半生涯」
...水のように湧(わ)き出して私は物の哀れを知り初めるという少年のころに手飼いの金糸雀(かなりや)の籠(かご)の戸をあけて折からの秋の底までも藍(あい)を湛(たた)えた青空に二羽の小鳥を放してやったことがある...
水上滝太郎 「山の手の子」
...あんな家に住んでいるような人は物の哀れに感じやすくなっていねばならないはずだ...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...「そう物の哀(あわれ)を知り過ぎては困るなあ...
森鴎外 「雁」
...その話は人に物の哀を感ぜさせ...
アルベエル・サマン Albert Samain 森林太郎訳 「クサンチス」
...物の哀れさを知りぬいた冬よ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...生き物の哀(かな)しさを...
吉川英治 「私本太平記」
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