...――昨夜(ゆうべ)、宵のしとしと雨が、初夜過ぎに一度どっと大降りになって、それが留(や)むと、陽気もぽっと、近頃での春らしかったが、夜半(よなか)に寂然(しん)と何の音もなくなると、うっすりと月が朧(おぼろ)に映すように、大路、小路、露地や、背戸や、竹垣、生垣、妻戸、折戸に、密(そっ)と、人目を忍んで寄添う風情に、都振(みやこぶり)なる雪女郎の姿が、寒くば絹綿を、と柳に囁(ささや)き、冷い梅の莟(つぼみ)はもとより、行倒れた片輪車、掃溜(はきだめ)の破筵(やれむしろ)までも、肌すく白い袖で抱いたのである...
泉鏡花 「薄紅梅」
...薄く掛けた友禅(ゆうぜん)の小夜着(こよぎ)には片輪車(かたわぐるま)を...
夏目漱石 「虞美人草」
...片輪車の友禅(ゆうぜん)の裾(すそ)だけが見える...
夏目漱石 「虞美人草」
...片輪車(かたわぐるま)ではなりますまい」「ほう...
吉川英治 「三国志」
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