...その飛ぶ露の光るやうな片輪にもう一つ宙にふうわりと仄あかりの輪を大きく提灯の形に卷いて...
泉鏡花 「遺稿」
...あんな片輪者の親にしちや婆さんがちつと勝気すぎる...
伊藤野枝 「白痴の母」
...貴様には解るまい! 俺が片輪にしてやる! 此処へ来い...
伊藤野枝 「白痴の母」
...みんな片輪じゃないか」と...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...ああ私は悲しい片輪者だと思い出すのです...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...二人とも醜い傴僂の片輪者で...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...例えば手や足のない片輪者には...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...片輪者の群(むれ)同じ日の夕方...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...因果と母親に輪をかけた片輪の子供が生れると...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...専門的であるという事は片輪であるということになる他ない...
戸坂潤 「現代科学教育論」
...片輪者らしいひがみがあるのを...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「今晩は?」「あつしは早寢で、戌刻(いつゝ)半には床の中へ潜(もぐ)り込んだ位ですから、うと/\して居て、よくは知りませんが、お祭の笛だか、口笛だか、聞いたやうな氣がしますよ」「――」「目が覺めたから、序に手水(てうず)に起きて、雨戸をあけると、若い男の後ろ姿が、離室の前を驅けて行つたやうでしたが――」「若い男――?」「へエ、若い男でなきや、あんなに早く、跫音(あしおと)も立てずに飛べるわけはありません」「それは、確かに合圖の後だね」「へエ――」「合圖をして娘を呼出すのは、大根畑の專次一人だけだらうな」「いくら大家の我儘娘(わがまゝむすめ)でも、まだ十七そこ/\ですもの、二人も三人も男があるわけはありません」七平の舌には、何となく毒を含みますが、片輪なるが故に、人にも世にも捨てられてゐるせゐでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...御無理御尤で片輪の印籠(いんろう)やガタガタ丸を...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...後者は片輪な精神の錯乱から生ずるものであるから...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...「おれは片輪の相手はしない...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...口も動かぬ片輪(かたわ)の木魚が...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...その因果(いんが)で、代々片輪が生れ、山中猿山中猿と呼ばれておりますが、あの衆自身は、先祖の罪業(ざいごう)を、生涯に償(つぐな)うのじゃと、みな生れながら弁(わきま)えておりますので、土地も去らず、ああして道中の馬糞(ばふん)掃除とか、何とか、出来ることは勤めながら、物乞いをしておりますようなわけで……)聞き取った家臣は、一場の笑いばなしとして、信長の耳にそれを達したきり、あとでは忘れていたが、信長はそれを覚えていたものとみえる...
吉川英治 「新書太閤記」
...相手を片輪にさせないから...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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