...蕪村の小説的構想などを前人未発のやうに賞揚するのは甚だしい片手落ちの批判である...
芥川龍之介 「芭蕉雑記」
...サッパリと商品券全部を紙幣類似として禁止した方が片手落ちがなくていいものと私は思うのであります...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...一往家内のいうことも聞いてみんことには片手落ちになる...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...下手(へた)な片手落ちの若返り法などを試みて造化に反抗するとどこかに思わぬ無理ができて...
寺田寅彦 「自由画稿」
...だが物質的な部分だけが精神的な部分を決定・規定・すると見るのは片手落ちだ...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...併し片手落ちなく云えば...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...何かの片手落ちや無理をして来ているのであるが...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...なぜ片手落ちでないかと云えば...
戸坂潤 「再び科学的精神について」
...それが許されているのは片手落ちなる強者の道徳――こんなことをわたしも...
中里介山 「大菩薩峠」
...その後のお八重さんはどうした、父の定めて取ってよこされた八重姫なるものが、それよりはじまる無惨な落伍者の運命を、堂守の婆さんは気の毒とも言わず、哀れとも思わず、それはそれだけで立消えて、そんなことは、眼中にも、脳中にも置かないでいたのはヒドいぞ、片手落ちだぞ...
中里介山 「大菩薩峠」
...バルトウが片手落ちの調停をしたので...
久生十蘭 「悪の花束」
...何たる片手落ちの処置ぞやなど感ぜし事も数(しばしば)なりき...
福田英子 「妾の半生涯」
...誰かその片手落ちなるに驚かざらんや...
福田英子 「妾の半生涯」
...それよりはもっと書物を害するヤツがいるに関らず誰れもが一向その名さえ言わぬのは片手落ちというもんだ...
牧野富太郎 「植物記」
...片手落ちが暁子の例の中に集約されています...
宮本百合子 「「女の一生」と志賀暁子の場合」
...結果ばかりとりあげて私だけが粗忽だというのでは片手落ちだと思うんです...
山本周五郎 「思い違い物語」
...かれの一声で、和談となった紛争では、いつも、喧嘩の双方に、充分な得心(とくしん)を与え、片手落ちがなく、双方によろこばれた...
吉川英治 「大岡越前」
...「言いたいことがあるなら、両名とも、青州御奉行の慕蓉(ぼよう)閣下のお白洲(しらす)でいえ」「あいや」花栄は満身の怒りをこめ、「片手落ちだ...
吉川英治 「新・水滸伝」
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