...故人を偲(しの)ぶ旧観の片影をだも認められない...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...鴎外の文章の片影がある...
太宰治 「花吹雪」
...あのひとの片影なりとも...
田中英光 「オリンポスの果実」
...ともかくも世界滅亡のカタクリズムを表現しようと試みた努力の中にはさすがにこの作者の老巧さの片影を認めることもできないことはないようである...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...たとえ半分がうそだとしてもいつもの型に入った人殺しや自殺の記事よりも比較のできないほど有益な知識の片影と貴重な暗示の衝動とを読者に与える...
寺田寅彦 「破片」
...日本海の片影(へんえい)を見た...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...人を悩殺せしむる爛熟した肉体の片影が見えていた...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...寒い片影をおびてくる...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...その硝子戸越(ごし)に岩だか土堤(どて)だかの片影を...
夏目漱石 「明暗」
...ただ作品には理智の片影だにのぞかしてゐないだけだ...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...その女(ひと)たちの生涯の片影(へんえい)を記(しる)しとどめ...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...これ亦この恐怖すべき出来事に対して説明の片影(かたかげ)をだに捉へ得たるものなし...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「病院横町の殺人犯」
...その片影すら見せないのである...
牧逸馬 「チャアリイは何処にいる」
...仮と見れば実なる趣味の片影に異ならざれ共...
正岡容 「大正東京錦絵」
...あなたの片影をも殘さず私の心から...
水野仙子 「道」
...幾分なりともそれらの片影を描きえていれば我々は勘弁する...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...王の安全に奮闘して斃れるミラボオの苦策など――人の脳中にほんの些細な疑いの片影がかすめ去る度びに...
横光利一 「旅愁」
...何等の形式の片影も被(かぶ)せられてない血みどろの若い女の屍体が...
若杉鳥子 「ある遊郭での出来事」
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