...複製して暑中見舞として知人に頒(わか)った椿岳の画短冊は劫火(ごうか)の中から辛(かろ)うじて拾い出された椿岳蒐集の記念の片影であった...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...これ畢竟(ひっきょう)神の片影なる穂高ちょう...
鵜殿正雄 「穂高岳槍ヶ岳縦走記」
...怪星らしいものの片影(へんえい)すら見なかった...
海野十三 「怪星ガン」
...そうした鉱山熱の片影に触れたりする...
大鹿卓 「金山※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28]話」
...雲は文字どほりに私の片影なのだ...
薄田泣菫 「独楽園」
...鴎外の文章の片影がある...
太宰治 「花吹雪」
...どうしてこう陸地の片影さえもが恋しいのだろうと自分で不思議に思いながら...
谷譲次 「踊る地平線」
...ともかくも世界滅亡のカタクリズムを表現しようと試みた努力の中にはさすがにこの作者の老巧さの片影を認めることもできないことはないようである...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...たとえ半分がうそだとしてもいつもの型に入った人殺しや自殺の記事よりも比較のできないほど有益な知識の片影と貴重な暗示の衝動とを読者に与える...
寺田寅彦 「破片」
...そうした背景の前に立つ佗(わび)しげな旅客の絵姿に自分のある日の片影を見出す...
寺田寅彦 「厄年と etc.」
...遠くヘルモン山の片影(へんえい)を見得べしと云ふ...
徳冨蘆花 「馬上三日の記」
...師父のような情愛を感ずる彼らの西郷先生の片影を...
本庄陸男 「石狩川」
...仮と見れば実なる趣味の片影に異ならざれ共...
正岡容 「大正東京錦絵」
...どんなことにも源氏の片影が加わればそのものが光づけられるのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...着物の片影を見ただけでも...
夢野久作 「卵」
...どこかで恨みの片影を持って生活しているときに...
横光利一 「夜の靴」
...俊基はまだ記憶の片影すらも思い出せず...
吉川英治 「私本太平記」
...何等の形式の片影も被(かぶ)せられてない血みどろの若い女の屍体が...
若杉鳥子 「ある遊郭での出来事」
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