...波に静かな白帆の片影...
泉鏡花 「悪獣篇」
...複製して暑中見舞として知人に頒(わか)った椿岳の画短冊は劫火(ごうか)の中から辛(かろ)うじて拾い出された椿岳蒐集の記念の片影であった...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...彼の推理の片影(へんえい)さえも...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...雲は文字どほりに私の片影なのだ...
薄田泣菫 「独楽園」
...出て行く時の輝かしさの片影も無く...
太宰治 「津軽」
...あのひとの片影なりとも...
田中英光 「オリンポスの果実」
...どうしてこう陸地の片影さえもが恋しいのだろうと自分で不思議に思いながら...
谷譲次 「踊る地平線」
...現在でも未開国ではその片影を認めることができるようである...
寺田寅彦 「自由画稿」
...たとえ半分がうそだとしてもいつもの型に入った人殺しや自殺の記事よりも比較のできないほど有益な知識の片影と貴重な暗示の衝動とを読者に与える...
寺田寅彦 「破片」
...日本海の片影を見た...
徳冨蘆花 「熊の足跡」
...その硝子戸越(ごし)に岩だか土堤(どて)だかの片影を...
夏目漱石 「明暗」
...その女(ひと)たちの生涯の片影(へんえい)を記(しる)しとどめ...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...これ亦この恐怖すべき出来事に対して説明の片影(かたかげ)をだに捉へ得たるものなし...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「病院横町の殺人犯」
...師父のような情愛を感ずる彼らの西郷先生の片影を...
本庄陸男 「石狩川」
...若しや玄吉といふのが私の片影ではないかといふ気がしたのでAに訊ねたら...
牧野信一 「蔭ひなた」
...仮と見れば実なる趣味の片影に異ならざれ共...
正岡容 「大正東京錦絵」
...幾分なりともそれらの片影を描きえていれば我々は勘弁する...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...俊基はまだ記憶の片影すらも思い出せず...
吉川英治 「私本太平記」
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