...片側町になつてゐる...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...片側町の繁昌しないのは申すまでもない...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...片側町の家の後はもう焼け落ちて...
田中貢太郎 「変災序記」
...この河岸通りは片側町になっていたのに...
谷崎潤一郎 「細雪」
...屋根の低い片側町(かたかわまち)の人家は丁度後(うしろ)から深い溝の方へと押詰められたような気がするので...
永井荷風 「すみだ川」
...場所は筋違(すぢかひ)御門(今の萬世橋)の籾御藏跡(もみおくらあと)あたりから、片側町の柳原を、和泉橋から新し橋を經て、淺草御門前の郡代屋敷あたりまで、かなりの長丁場ですが、昔は恐ろしく淋しいところ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...我(わ)が物(もの)なれば重(おも)からぬ傘(かさ)の白(しら)ゆき往來(ゆきかひ)も多(おほ)くはあらぬ片側町(かたかはまち)の薄(うす)ぐらきに悄然(しよんぼり)とせし提燈(ちやうちん)の影(かげ)かぜに瞬(またゝ)くも心細(こゝろぼそ)げなる一輛(いちりやう)の車(くるま)あり...
樋口一葉 「別れ霜」
...例へば折られぬを合点(がてん)で垂れる柳かな鍬(くわ)と足三本洗ふ田打(たうち)かな足柄(あしがら)の山に手を出す蕨(わらび)かなもの申(もう)の声に物着(き)る暑さかな片耳に片側町の虫の声邪魔が来て門叩(たた)きけり薬喰(くすりくい)の如き巧拙は異なれどもその意匠の総て諧謔に傾き頓智(とんち)による処尽(ことごと)く相似たり...
正岡子規 「俳諧大要」
...その坂みちに乳をもらひにゆく私は雨にぬれ白い瓶をかかへてかへる坂は片側町で地笹が雨で蒼蒼しい母おやに乳がないゆゑこどもが泣いてしかたがないかんしやくが起つても默つて私はがまんをしてゐるぎあ...
室生犀星 「星より來れる者」
...無縁坂の片側町で一番騒がしい為立物師の家の隣は...
森鴎外 「雁」
...鳥取の本町は片原町に続きて始めて両側に人家ありとあれば(因幡志)この片原町もすなわちまた一つの片側町である...
柳田國男 「地名の研究」
...意古井川に沿った片側町をくだり...
山本周五郎 「古今集巻之五」
...片側町で横町が三筋ある...
山本周五郎 「ひとでなし」
...ここの辻はその空地を前にして片側町となっている...
吉川英治 「黒田如水」
...もう戸を卸(おろ)している片側町の辻まで来た...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...もう東堀の片側町は戸の下りていた頃なのである...
吉川英治 「宮本武蔵」
...川ぞいの片側町を歩きながら...
吉川英治 「宮本武蔵」
...向うの片側町の灯を見ながらのろのろと進んでゆくとすぐに...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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