...宿屋の大きな門口に乘入れると、片側には、威勢よく臺所で火が燃えてゐるのが窓から外へ射してゐた...
アーヴィング 高垣松雄訳 「驛傳馬車」
...片側に並んだ竈(かまど)は幾つも炎を動かしていた...
芥川竜之介 「歯車」
...道の片側にはきれいに耕された広い畑が続いていて...
伊藤野枝 「転機」
...既に幾分か黄ばんだ葉を片側に付けた樹が見えてゐました...
江南文三 「佐渡が島から」
...のどかな陽が射していたその片側に...
高見順 「如何なる星の下に」
...あの辺一帯にひろがって居る貧民窟(ひんみんくつ)の片側に...
谷崎潤一郎 「秘密」
...小屋の中の片側には数日分の薪材(しんざい)に付近の灌木林(かんぼくりん)から伐(き)り集めた小枝大枝が小ぎれいに切りそろえ積みそろえられていかにも落ち着いた家庭的な気持ちを感じさせる...
寺田寅彦 「小浅間」
...四ある家の告別式に参列して親類の列に伍して棺の片側に居並んでいた...
寺田寅彦 「雑記帳より(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」
...箱の片側に日光が当って箱の中の空気の対流を生じたり...
寺田寅彦 「物理学実験の教授について」
...シャーロック・ホームズは暖炉の片側に座を占め...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 加藤朝鳥訳 「橙の種五粒」
...片側には岩山が一〇〇フィートを越える高さでそびえ立ち...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...蕾(つぼみ)の固い桜の片側に植わった人道に...
徳田秋声 「黴」
...余は奥村政信が堺町(さかいちょう)の町木戸(まちきど)より片側(かたかわ)には中村座片側には人形芝居辰松座(たつまつざ)の櫓(やぐら)を見せ...
永井荷風 「江戸芸術論」
...道を片側によける一人の女が目に入った...
山川方夫 「その一年」
...道の片側に、一、二軒ずつの茅葺(かやぶ)き屋根、中には噴出しの井戸もあって御休処の小旗、埃まみれの汗を拭って井水に浸したトコロテンの一啜(すす)り、なんともいえぬ味があった...
山本笑月 「明治世相百話」
...夜はその片側に灯(ひ)が一つ点(とも)る...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...そして片側に断崖をのぞむ曲り角へかかると...
吉川英治 「新書太閤記」
...片側には父が端で...
若山牧水 「姉妹」
便利!手書き漢字入力検索