...片ちんばの頬鬚をそり落としてしまつた...
薄田泣菫 「茶話」
...片ちんばの下駄(げた)をはいて出て途中で気がついて...
太宰治 「新釈諸国噺」
...さうして、私はその遠足の時には、奇妙に服装に凝つて、鍔のひろい麦藁帽に兄が富士登山の時に使つた神社の焼印の綺麗に幾つも押されてある白木の杖、先生から出来るだけ身軽にして草鞋、と言はれたのに私だけ不要の袴を着け、長い靴下に編上の靴をはいて、なよなよと媚を含んで出かけたのだが、一里も歩かぬうちに、もうへたばつて、まづ袴と靴をぬがせられ、草履、といつても片方は赤い緒の草履、片方は藁の緒の草履といふ、片ちんばの、すり切れたみじめな草履をあてがはれ、やがて帽子も取り上げられ、杖もおあづけ、たうとう病人用として学校で傭つて行つた荷車に載せられ、家へ帰つた時の恰好つたら、出て行く時の輝かしさの片影も無く、靴を片手にぶらさげ、杖にすがり、などと私は調子づいて話して皆を笑はせてゐると、「おうい...
太宰治 「津軽」
...草履(ざうり)を片ちんばに履(は)いて行きましたよ」こんな事を言ふのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...摺り切れている片ちんばの下駄や...
山之口貘 「野宿」
...汽車が着くと周章てて下駄を片ちんばに穿いて...
吉井勇 「青春回顧」
...片ちんばだとはおもわなかった...
吉川英治 「大岡越前」
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