...彼はその熱い湯が爪の先にしみこむのを感じながら...
芥川龍之介 「戯作三昧」
...小供の爪の先きが人の肉體をこそこそと掻きおろしてくる樣なきつい温さを含んだ日光に額をさらしながら...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...爪の先ほどの心得もないこの俺が...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...爪の先で拡げて火の傍へ持って来ます...
中里介山 「大菩薩峠」
...爪の先までも見落すまじと見入ったのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...あの田の草取りだ昼間の暑い陽ざかりにジリジリの煮え湯の泥田を四つんばいになって這うて歩くのじゃ顔も手もぼんぼんにふくれ上がり爪の先がずくずくうずくだ六十ごけ婆がこのようにもがいても喰う米も無(ね)いんだその横で地主の奥様は夏羽織でお寺まいりなさるし...
中野鈴子 「母の手紙」
...薄いゴム膜を拇指と人差指との爪の先でひねって...
中谷宇吉郎 「雨を降らす話」
...爪の先までやさしい表情にあふれています」という文句がその書きだしになっている...
久生十蘭 「青髯二百八十三人の妻」
...この三本の爪の先がすっかり磨り減って...
久生十蘭 「魔都」
...頭のてっぺんから爪の先まで国全体がこれに感染し...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...爪の先ほどの関心を示す者もなく...
山本周五郎 「青べか物語」
...爪の先ほども顔色には出さなかった...
山本周五郎 「さぶ」
...生きる苦労なんか爪の先ほども知らないんだろう...
山本周五郎 「さぶ」
...耳たぶの紅から爪の先まで研(みが)きに研いていたことである...
吉川英治 「新・水滸伝」
...襟(えり)と爪の先からしみてくる...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...この泥くさい田夫(でんぷ)の体の爪の先までが...
吉川英治 「宮本武蔵」
...とも知らずに、虚無僧は、やがて尺八を袋に納めて、しばらく、屋内の空気に耳を澄ましていたが、「もし……」と、軽く、爪の先で、そこの戸をたたいてみる...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...岩壁へ爪の先で深く一筋ずつ印(しるし)を彫っていた...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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