...Kと一緒に暫らく灰燼の中を左視右顧しつゝ悵然(ちょうぜん)として焼跡を去りかねていた...
内田魯庵 「灰燼十万巻」
...心の隅(すみ)の何処(どこ)かに尚(ま)だ残ってる政治的野心の余燼(よじん)等の不平やら未練やら慚愧やら悔恨やら疑惑やらが三方四方から押寄せて来て...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...京伝馬琴以後落寞として膏(あぶら)の燼(つ)きた燈火(ともしび)のように明滅していた当時の小説界も龍渓鉄腸らのシロウトに新らしい油を注ぎ込まれたが...
内田魯庵 「四十年前」
...若干の貸家と共に二十年(一九四五)七月十日の爆撃で灰燼となつた...
土井晩翠 「「晩翠放談」自序」
...漸(ようや)く消燼(しょうじん)して...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...觀察の態度をきめやうと思ふ時は雁と灰燼とを讀返す...
永井荷風 「鴎外全集を讀む」
...この余燼の灰を掻(か)くまでには...
中里介山 「大菩薩峠」
...勘次(かんじ)はおつぎを相手(あひて)に灰燼(くわいじん)を掻(か)き集(あつ)めることに一日(にち)を費(つひや)した...
長塚節 「土」
...何ものをも燒き盡さねば止まぬ神聖性の猛火の中に灰燼に歸した主體は...
波多野精一 「時と永遠」
...殆ど全都を灰燼に帰したことがあった...
穂積陳重 「法窓夜話」
......
三島霜川 「解剖室」
...非常な労苦と莫大な費用とが空しく灰燼(かいじん)に帰して...
柳宗悦 「民藝四十年」
...まだ余燼のほとぼりでむっと顔が熱かった...
横光利一 「旅愁」
...呂布(りょふ)一洛陽の余燼(よじん)も...
吉川英治 「三国志」
...――あくる日もまだ余燼(よじん)は冷(さ)めきっていなかった...
吉川英治 「私本太平記」
...灰燼(かいじん)とするも惜しい」と考えているからであった...
吉川英治 「新書太閤記」
...本能寺の余燼(よじん)もまだいぶっていた六月二日の当日...
吉川英治 「新書太閤記」
...余燼(よじん)は消されつくしても...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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