...空氣は乾燥して、實に清新だ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...焦燥(しょうそう)は日と共に加わった...
海野十三 「大脳手術」
...その云(い)うことが解(わか)るものは無(な)いとでも考(かんが)え直(なお)したかのように燥立(いらだ)って...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...一九一八年三月二十六日夜千家元麿車の音夜中の二時頃から巣鴨の大通りを田舍から百姓の車がカラ/\カラ/\と小さな燥いた木の音を立て...
千家元麿 「自分は見た」
...ざるや皿を持つた女が通る魚屋の前にはそれぞれ特色のある異樣な一杯な人がたかりごたかへす道の上には初冬の青い靄が立ち用のすんだ大きな荷馬車が忙しなくゴロゴロ通り晝間の暖さを一杯身の内に吸ひ込んだ小供等の興奮して燥ぎ廻る金切聲が透明な月の薄く現はれた空に一つづゝ浮んでは...
千家元麿 「自分は見た」
...青春は人生の花だというが、また一面、焦燥、孤独の地獄である...
太宰治 「困惑の弁」
...自分はその焦燥と不安のために...
太宰治 「人間失格」
...野村は非常な燥(はしゃ)ぎ方で...
谷崎潤一郎 「細雪」
......
豊島与志雄 「崖下の池」
...すべて正直な人たちはそうだが、オイレル一家の者が存在の理由としてるところのもの、そしておのれの生活を早くもこの世からの煉獄(れんごく)となしてるところのもの、すなわち強力な伝統、真正な主義、無味乾燥な義務、面白みのない労働、燥急、喧騒(けんそう)、口論、悲嘆、健全な悲観主義、そういうものの上に、実際の行為によって皮肉な拒否を投げかけんがために、ザビーネはことさらにそうしてるのだとでもいうような調子だった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...不安は焦燥の念に変っていった...
豊島与志雄 「二つの途」
...先刻からの焦燥の念が俄に反感に燃え立ってくるのを私は覚えた...
豊島与志雄 「理想の女」
...それだから幾度(いくたび)百姓(ひやくしやう)の手(て)が耕(たがや)さうとも其(そ)の土(つち)を乾燥(かんさう)して濡(ぬ)らさぬ工夫(くふう)を立(たて)ない限(かぎ)りは...
長塚節 「土」
...しかし証拠や理由のないことは彼の心の焦燥を鎮(しず)める何の効果ももたなかった...
平林初之輔 「二人の盲人」
...だんだん燥ゃぎ出すようになった...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...是を十分に乾燥して後に貯藏するものと思はれる...
柳田國男 「食料名彙」
...寒地では日光乾燥が間に合はなくて...
柳田國男 「食料名彙」
...一辺鄙な、村はずれの丘には、いつの間にか、華やかな幕を沢山吊るした急拵(ごしら)えの小屋掛が出来て、極東曲馬団の名がかけられ、狂燥なジンタと、ヒョロヒョロと空気を伝わるフリュートの音に、村人は、老(おい)も若きも、しばし、強烈な色彩と音楽とスリルを享楽し、又、いつの間にか曲馬団が他へ流れて行っても、しばらくは、フト白い流れ雲の中に、少年や少女の縊(くび)れた肢体を思い出すのである...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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