...凍死(こゞえしゝ)たるはまづ塩(しほ)を熬(いり)て布(ぬの)に包(つゝみ)しば/\臍(へそ)をあたゝめ稿火(わらび)の弱(よわき)をもつて次第(しだい)に温(あたゝむ)べし...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...○塔不剌(たふふら)とありて注(ちゆう)に○葱(ねぎ)○椒(さんしよ)○油○醤(ひしほ)を熬(いりつけ)...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...喜平は子供の頃から出来立ての熬しのにほひを嗅ぐのが何よりも好きでした...
薄田泣菫 「小壺狩」
...爺さんが蓋をとつたまま置きつぱなしにしておいた熬し入れの小壺に戯れかからうとしました...
薄田泣菫 「小壺狩」
...熬し入れのことでございますか...
薄田泣菫 「小壺狩」
...市街(まち)の人はフライ鍋で熬(い)りつけられる肉のやうに...
薄田泣菫 「茶話」
...その時さながら身を熬(い)るような悩ましさを覚えたことがあった...
近松秋江 「黒髪」
...気が熬(い)れて話がこじくれて来た...
徳田秋声 「足迹」
...此国には昔から一種熬々(いらいら)した不穏(ふおん)の気が漂(ただよ)うて居る...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...女房(にようばう)は忙(いそが)しい思(おも)ひをしながら麥(むぎ)を熬(い)つて香煎(かうせん)も篩(ふる)つて置(お)いた...
長塚節 「土」
...庭(には)の油蝉(あぶらぜみ)が暑(あつ)くなれば暑(あつ)くなる程(ほど)酷(ひど)くぢり/\と熬(い)りつけるのみで...
長塚節 「土」
...これは大根下しと熬り豆と...
長塚節 「十日間」
...これを木炭の上で「熬煉」すると...
中谷宇吉郎 「古代東洋への郷愁」
...やっと熬(い)りつくような渇(かわき)を紛(まぎ)らしていた...
夏目漱石 「思い出す事など」
...上さんはいつも豆の熬(い)り役で...
正岡子規 「熊手と提灯」
...中にもこの夜各の年齢の数に一つ増したるだけの熬豆(いりまめ)を紙に包みて厄払(やくばらい)に与へ来年の厄を払はしむるが如きは明かに立春を以て計算の初となし立春に入る事によりて新たに齢一つを加ふる者と定めたるを見るべし...
正岡子規 「墨汁一滴」
...油と塩で熬(に)た魚をくれぬが不足だ...
南方熊楠 「十二支考」
...ぢつと熬(こら)へる...
森鴎外 「魔睡」
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