...冬にはトキジクノカクノコノミのように熟れた実が濃緑の葉かげに金色の光を放つ...
青木正児 「九年母」
...銭湯へゆく麦畑をとおるオムレツ形の月大きな暈(かさ)をきてひとりぼっち熟れた麦強くにおうかのおなごのにおいチイチイと胸に鳴くかのおなごはいってしまったあきらめておくれといってしまった麦の穂を噛み噛みチイチイと胸に鳴く...
竹内浩三 「麦」
...たつた一つがまつかに熟れた・柿の葉のおちるすがたのうれしい朝夕・かまきりがすいつちよが月の寝床まで十月三日時雨...
種田山頭火 「其中日記」
...熟れたグミのように眼立つのは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...よく熟れた茱萸(ぐみ)のようで...
野村胡堂 「百唇の譜」
...熟れたトマトのような両手で...
野村胡堂 「判官三郎の正体」
...暗澹たる雷雨の中に朱く熟れた鬼灯の実...
原民喜 「小さな庭」
...その實の熟れた麥と麥との間を渡るときだけは...
堀辰雄 「おもかげ」
...黄いろく熟れた實のざわざわいふ音がまだ彼女の耳には殘つてゐた...
堀辰雄 「おもかげ」
...熟れたブドウや桃に差し込み...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...半年振りで会うお久美さんの体の中には先にもまして熟れたリンゴの様な薫りが籠って居る様で...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...薄赤い赤坊の髪の毛の様にしなしなした細い蔓が差し出て居る棚から藤の通りに紫色に熟れた実が下って居るのを見た時はすっかりおどろいて仕舞った...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
......
三好達治 「駱駝の瘤にまたがつて」
...朱く熟れた実がうっすらと霜をかぶって四つ五つ...
矢田津世子 「女心拾遺」
...熟れた糊の匂いが栄二の顔を包んだ...
山本周五郎 「さぶ」
...朱色に熟れた実がびっしりと生(な)っていた...
山本周五郎 「新潮記」
...熟れた稲田のかなたに遇妻川(あつまがわ)の流れがみえた...
山本周五郎 「日本婦道記」
...熟れた葡萄の果や...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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