...銭湯へゆく麦畑をとおるオムレツ形の月大きな暈(かさ)をきてひとりぼっち熟れた麦強くにおうかのおなごのにおいチイチイと胸に鳴くかのおなごはいってしまったあきらめておくれといってしまった麦の穂を噛み噛みチイチイと胸に鳴く...
竹内浩三 「麦」
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立原道造 「萱草に寄す」
...一口で喉のおかわきを癒すお方にはこのよく熟れた柿の実はいかゞでございませう...
仲村渠 「果物屋の広告文」
...江戸の風物は熟れた果物のように...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...そしてグミのように熟れた唇と美しい歯並みが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...透き通るような顔に、くっきり眉の青いのと表情的な大きい眼、熟れたグミの唇、すべてが神秘と魅惑との不思議な交錯ですが、真っ黒に染めた歯が一本、無残にも欠けているのが、妙にこの世的な肉感をそそります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...真紅に熟れた唇の前に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...よく熟れた茱萸(ぐみ)のようで...
野村胡堂 「百唇の譜」
...暗澹たる雷雨の中に朱く熟れた鬼灯の実...
原民喜 「小さな庭」
...氷は熟れた林檎(りんご)にはりつめ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...その實の熟れた麥と麥との間を渡るときだけは...
堀辰雄 「おもかげ」
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三好達治 「駱駝の瘤にまたがつて」
...若葉のかげによく熟れた美しい茜と紅とを交ぜたこの果実が...
室生犀星 「幼年時代」
...黒く熟れた実を摘んでは口に入れた...
山本周五郎 「桑の木物語」
...朱色に熟れた実がびっしりと生(な)っていた...
山本周五郎 「新潮記」
...熟れた実をびっしり付けた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...熟れた葡萄の果や...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...熟れたる果実や獣肉にも飽き...
吉川英治 「三国志」
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