...私はこういう煮えきらない近づきの挨拶ではあったが...
「草藪」
...夫婦生活を始めてから二十何年間、夫は何とつまらない、およそこれとは似ても似つかない、生ぬるい、煮えきらない、後味の悪いものを私に味あわせていたことだろう...
谷崎潤一郎 「鍵」
...「どうも煮えきらない男ですわい」と父親はそれとなく言った...
田山花袋 「蒲団」
...彼女の言葉に何か煮えきらないところもあった...
徳田秋声 「仮装人物」
...晋作はなお煮えきらない返辞ばかりして...
豊島与志雄 「白血球」
...あんな意志の弱い煮えきらない者をおかれても...
豊島与志雄 「変な男」
...お前よく考えてみな」七兵衛は煮えきらないのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...人に煮えきらない疑問を持たせて毒になりますから...
中里介山 「大菩薩峠」
...痺(しびれ)がきれるでせう」「それでどうした」その煮えきらないのに口をきかせて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「ここへお持ちいたしましょうか」サト子は煮えきらない調子で言った...
久生十蘭 「あなたも私も」
...「おめえは煮えきらないから嫌いだよ...
久生十蘭 「春の山」
...」「どうだ?」妙に周子の態度が煮えきらないので私は...
牧野信一 「毒気」
...家庭裁判所の大体の様子を見たいといふほどの煮えきらない心持だつたやうだ...
宮地嘉六 「老残」
...いつもの煮えきらない暢(のん)びりした人に似合わずかなり貫禄(かんろく)のあるおちついた態度をみせていた...
山本周五郎 「いさましい話」
...良人の煮えきらない容子に蔡夫人は焦々(いらいら)しく思った...
吉川英治 「三国志」
...(煮えきらない人だ)と云うし...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...煮えきらないような中央の東国対策の裏面には...
吉川英治 「平の将門」
...範頼は煮えきらない性(たち)だし...
吉川英治 「源頼朝」
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