...と煮えくり返る自問自答を試みたのである...
太宰治 「善蔵を思う」
...この煮え沸(たぎ)る無念と憤怒の最中にさえも思わず私の眼を眩(くら)ましめた...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...……(九日)・うれしいことでもありさうな朝日がこゝまで・はたしてうれしいことがあつたよこうろぎよ・飛行機はるかに通りすぎるこほろぎ・つめたくあはただしくてふてふ・ひつそりとおだやかな味噌汁煮える・百舌鳥もこほろぎも今日の幸福・水をわたる誰にともなくさようなら・月の澄みやうは熟柿落ちようとして・酔ひざめの風のかなしく吹きぬける(改作)十月十日晴――曇...
種田山頭火 「其中日記」
...これらの著者の態度は一方から云えば不徹底で生煮えのようでもあるが...
寺田寅彦 「徒然草の鑑賞」
...煮えたっている湯の中を眺めていた...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...人に煮えきらない疑問を持たせて毒になりますから...
中里介山 「大菩薩峠」
...煮えたる頭(かしら)には一点の涼気を吹かず...
夏目漱石 「薤露行」
...山名屋を煮えくり返らせました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ぢつとしてゐたら間違ひもなく頭から煮え湯を被つたことでせう」お雪はその時の恐ろしさに顫へながらも...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...煮えこぼれるやうな憤懣(ふんまん)を感じて居るのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...やかんは白い湯氣をたててしゆんしゆんと猛烈に煮えくりかへつてゐる...
林芙美子 「暗い花」
...むつは太郎へ煮え湯をかけて殺してしまおうかと思いました...
林芙美子 「クララ」
...――生煮えの葛湯(キッセリ)で汝(うぬ)の親爺が息をつめて斃(くたば)つてしまやあええ!――往来で乱暴を働らいたり...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...煮えくりかへる汚辱の大釜に投げ込まれて...
牧野信一 「村のストア派」
...――爺さんはその時のことを思うと肚が煮え立つのである...
矢田津世子 「神楽坂」
...頭脳(あたま)がぐらぐら煮え立つように感じた...
山本周五郎 「思い違い物語」
...と煮えきらない返辞をした...
山本周五郎 「季節のない街」
...煮え切らぬ感情の横溢である...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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