...鍋の裡なる食は煮え上りたり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...かつては煮え湯を呑まされた彼の復讐(ふくしゅう)だったことも解った...
徳田秋声 「仮装人物」
...何事にも、多くは条理もたたないのに、煮えくり返った...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...いかにも煮え切らないよ」重吉は小さな声でそうかなと言って...
夏目漱石 「手紙」
...六十八 もう大洋の総体が鍋の様に煮え返り沸騰している...
シモン・ニューコム 黒岩涙香訳 「暗黒星」
...煮えこぼれるような賑わいですが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...が――」「手代の福松に娶合せるだろうと世間では言っているようですが――」「私もそんことを考えていましたよ」「妹のお雪さんの方は?」「これも決ってはいませんが――」主人の調子には妙に煮え切らないところがあります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...煮えこぼれさうになつてゐた富山七之助が...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...煮えくりかえるような胸をおさえて...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...もう一時間も前から豚もキヤベツも煮えくり返つてゐる...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「十三時」
...その上、今度の、米価の釣り上げでは、お上はもとより、御府内の人々のいかりを買っておるゆえ、今夜にも明日にも、店をこわされ、むごい目に逢うかも知れぬ――そんなこんなで、あのように、気も狂わんばかりあがきおるが、それも身から出た錆――せん方もあるまい」雪之丞は、その時、不思議な衝動(しょうどう)に駆られて、じっと、広海屋をみつめて、しかし、さり気なく――「それにしても、何やら、長崎以来のことを、とやこうと、あのお人はおいいなされましたが、あなたさまに、御迷惑のかかるようなことがありましては――」広海屋の目つきが、キラリ不安そうにきらめいたが、「は、は、なるほど、そんなこともいうていたの? なに、何でもないはなし――お互に長崎にいたとき、わしの商売がたきに、ある老舗(しにせ)があったのを、あの男と、力を合せ、あきないの競り合いに、競りまかして、のれんを下ろさせたのだが、そんなことは、商人道の恒(つね)――罪も、とがもあろうはずがないのじゃ」――悪逆無道な、罠(わな)にかけ、父御(ててご)を破滅させ、母御まで死なせて置いて、罪も科(とが)もない――商人の恒だとは!雪之丞の、腸(はらわた)は、煮えくりかえる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...あんまりキモが煮えるもんで――助役 ああ又来てるな...
三好十郎 「鈴が通る」
...煮えるような苛苛しい気分になってゆくのであった...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...まだ地の底があの下の方で、煮え上がって、火を噴いて流れていた時、わたしはそこにいました...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...「煮えて来るまで...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...煮えくり返るほど腹が立って来るんです...
夢野久作 「狂人は笑う」
...実に腸(はらわた)が煮えくり返るようだが...
夢野久作 「爆弾太平記」
...姿が見えたんですが……どうも部屋の様子が」「いないのか」「へい」「阿呆どもが」煮え湯を飲んだように亭主の顔は変った...
吉川英治 「宮本武蔵」
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