...黄色い芭蕉布(ばしょうふ)で煤(すす)けた紙の上下(うえした)をたち切った中に...
芥川龍之介 「老年」
...煤(すす)と一所に油煙で黒くなって正体が分らないのであった...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...それがまた煤(すす)やら垢(あか)やらで何の木か見別けがつかぬ位...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...煤(すす)と鍋墨(なべずみ)...
海野十三 「骸骨館」
...背の高い色の煤黒い...
田中貢太郎 「不動像の行方」
...(明治四十一年二月四日『東京朝日新聞』)六十四煤煙問題ロンドン地下電鉄会社の発電所で焚(た)く石炭の煙がウェストミンスターの町へ掛かって損害を与えるというので...
寺田寅彦 「話の種」
...可也(かなり)の距離から来る煤煙に汚れた常磐木(ときわぎ)の枝葉を払いなどしていたが...
徳田秋声 「あらくれ」
...屋根裏の煤竹(すすたけ)...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
......
長塚節 「長塚節歌集 中」
...さらに煤煙は炭素であると言ってしまえば...
中谷宇吉郎 「硯と墨」
...あの濛々と空を掩ふ様な大阪の煤煙もここから見れば金剛山の麓にも及ばないのだと感心した心も見える...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...夜更けて 油の盡きた暗いランプ 低い焔 煤けた笠既に私の生涯も 剩すところはもうわづか ああ今しばしものを思はう 今しばし 私の仕事に精を出さうやがて睡りの時がくる 悲しみもなく 私の眠る時がくる...
三好達治 「雪夜 三」
...九三煤掃(すすは)きと出代り煤払(すすはら)いはいつするか...
柳田国男 「年中行事覚書」
...こうして拡げてみますると処々に煤の汚れが付いております上に燃えさしの鉋屑の臭気が一パイで...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
...煤煙を恋しがるような習性とは...
吉川英治 「随筆 新平家」
...梅雨照りや煤(すゝ)いと古き駅の汽車そんな小駅が幾つも窓外を過ぎ去ってゆく...
吉川英治 「随筆 新平家」
...漂(ただよ)いだした黄昏(たそがれ)の色あい――煤(すす)けた狩野(かのう)ふうな絵襖(えぶすま)のすみに...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...この煤(くす)んだ百姓家の壁と炉のそばで...
吉川英治 「宮本武蔵」
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