...煤煙でまつ黒になつた機關兵が色硝子をはめた眼鏡を頸へかけながら忙しさうに動いてゐる...
芥川龍之介 「軍艦金剛航海記」
...煤(すす)と鍋墨(なべずみ)...
海野十三 「骸骨館」
...高くあがった微(かす)かな煤煙は...
海野十三 「太平洋雷撃戦隊」
...煤色(すすいろ)の夜霧のなかに...
海野十三 「ネオン横丁殺人事件」
...「今わたくしの作る火は大空高くカムムスビの命の富み榮える新しい宮居の煤(すす)の長く垂(た)れ下(さが)るように燒(た)き上(あ)げ...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...背の高い色の煤黒い...
田中貢太郎 「不動像の行方」
...打出されたところは昔呉竹(くれたけ)の根岸(ねぎし)の里今は煤(すす)だらけの東北本線の中空である...
寺田寅彦 「猫の穴掘り」
......
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...風に追ひやられた雲の列が盛(さかん)に煤煙(ばいえん)を吐(は)く製造場(せいぞうば)の烟筒(けむだし)よりも遥(はるか)に低く...
永井荷風 「すみだ川」
...古(ふる)い煤(すゝ)だらけの疎末(そまつ)な建築(けんちく)は燒盡(やきつく)して主要(しゆえう)の木材(もくざい)が僅(わづか)に焔(ほのほ)を吐(は)いて立(た)つて居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...もはや煤を被っても...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...一重筵の上にして蒔繪の盆や草雙紙さては廚の煤鍋が入り亂れたる狂態を水干やれし古雛のこは狼藉ととがめずや...
萩原朔太郎 「煤掃」
...それから構内の石炭がらを運んできて部屋中いつぱい やけに煤煙でくすぼらせろ...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...彼等の表面に附着してゐる塵や、煤や、泥だとか、犬の齒からこぼれ落ちたものだとか、何に使ふつもりだかも分らずに買つた、無意味な、壞れものなどで、生きてゐるのでした...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「巴里の手紙」
...天と地の間に煤煙(ばいえん)の雲がうずを巻(ま)いていた...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...威勢よく空一面に漲(みなぎ)つてゐる焦茶色の煤煙(ばいえん)...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...畳の上にごろ寝をして煤のたまった天井をながめながら主人は...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...煤煙に怖れをなして他へ越したといふのである...
吉川英治 「折々の記」
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