...部屋毎の境は小有天でも無風流を極めた板壁である...
芥川龍之介 「上海游記」
...しかしピストルとは無風流な……」「おお...
海野十三 「千早館の迷路」
...」「あたし、櫻を見てゐると、蛙の卵の、あのかたまりを思ひ出して、――」家内は、無風流である...
太宰治 「春晝」
...これは、少し音がするのと、抵抗が強いのと、適当な鉛筆削りのないのが欠点だけれども、(此の頃バリカン式と云ふ鉛筆削りが出来たので大分助かるが、デスクへ釘付けにする在来の奴は、無風流で困る...
谷崎潤一郎 「文房具漫談」
...一つの心理的なからくりの中の歯車や弾条(ばね)を点検するような無風流な科学者の態度で古人の連句をのぞいてみたらどうであろうか...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...此の絶景を占領して居る万作が家は主人(あるじ)だけ無風流だ...
徳冨蘆花 「漁師の娘」
...無風流な青年の私は...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...かく無風流に旅行して終った事も不思議はないのである...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...駒井その人が無風流なる故ではありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...所にも似ず無風流(ぶふうりゅう)な装置には違ないが...
夏目漱石 「行人」
...「どうせ無風流ですわ...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...そして母と対座してゐる無風流気な姿を...
牧野信一 「茜蜻蛉」
...十八世紀文学の常識と無風流と...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そういうおじいさんの孫として生れている自分のなかにある無風流さを考えたことがありました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...すなわち物は真黒で無風流であろうとも...
柳田国男 「雪国の春」
...まだこれからでございます」「私は無風流だから...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...あなた様も、おたしなみでございますか」「何の、一向に無風流者...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...科学の島というからには、無風流極まる、コンクリートの工場地帯を思わせるような風景を想像していたのだか、一歩、人工蜃気楼の障壁を這入(はい)ると、其処に、忽然と繰展(くりひろ)げられたのは、言葉通り百花繚乱と咲き乱れた花園のような『日章島』だった...
蘭郁二郎 「地図にない島」
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