...俺の女房というのは至極無感動な女で...
梅崎春生 「蜆」
...彼は眼を見開くと無感動な顔付でしきりと四周(あたり)を見廻した...
梅崎春生 「日の果て」
...ついては、万一の場合に備える為に、警視庁の援助を願いたいという申出でだ」刑事部長は、極めて無感動な、事務的な調子で、説明を続けた...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...エエ承知しましたと、そこにいる人にいっておくれ、その代り茂ちゃんは、きっと、間違いなく、返して下さいって」それに答えて、受話器からは、まるで無感動な、暗誦(あんしょう)でもする様な、たどたどしい子供の声が聞こえて来た...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...それをあの無感動な調子で喋らせた...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...不在といわれても無感動な様子で容易に立ち退く気配もなかった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...無感動な表情のまま深い関心を見せて道をひらいた...
壺井栄 「二十四の瞳」
...中折帽の庇下(ひさしした)からチラチラ光っている無感動な冷たい眼や...
徳永直 「冬枯れ」
...無感動な態度を装う...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...「なにをいってるんだ、こいつ」小さな、円い眼をした貧相な男が、無感動な声で、こたえた...
久生十蘭 「キャラコさん」
...それに釦のこともあるし……」久我はひどく無感動な顔つきで...
久生十蘭 「金狼」
...はッといって無感動な顔で殺しに出て行く...
久生十蘭 「ノア」
...だらしなく銃を担いだ、脾弱(ひよわ)そうな中年の兵隊や老兵が、無感動な、そのくせどこかシニックな影のある顔つきで、小隊長らしい将校のあとからゾロゾロ谷間へ降りて来、それぞれの営舎へ入ると、なにをする気力もないように寝ころがって午睡をはじめた...
久生十蘭 「ノア」
...この時には死体らしいものを見掛けておらないからであります」真名古は無感動な様子で...
久生十蘭 「魔都」
...心からそれをたのしみにしていた」無感動な口ぶりで話し続けながら...
山本周五郎 「あだこ」
...「こんな時刻に済まない」と主計は無感動な声で云った...
山本周五郎 「古今集巻之五」
...振り立てようにもどうともならぬ無感動な気持ちで...
横光利一 「夜の靴」
...ともすると無感動な静かな表情になるのだった...
横光利一 「旅愁」
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