...無情な人の夢にも知ったことではない...
伊藤左千夫 「正岡子規君」
...生みの親の無情なことを語り聞かせた...
徳田秋声 「あらくれ」
...そういう無情な態度に...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...健三から見ると無情な挙動(ふるまい)であった...
夏目漱石 「道草」
...大身の旗本の無情な要求を...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あまりにも無情な表裏の対比に思わず嗟嘆の声をあげたに違いない...
久生十蘭 「魔都」
...何処であろうが、到るところ、この世の中では、あの冷酷無情な、がさつで惨めな、汚ならしく黴の生えたような下層社会の中でも、或はまた単調で冷淡な、いやに退屈に取りすましたような上流社会の間でも、人は必ず一度や二度はまだそれまでに出逢ったこともないような現象に出逢って、生涯、夢に見ることもないような感情に胸をときめかせることがあるものだ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...また殘忍な無情な眼をしてゐた――それが私にリード夫人の眼を思ひ起させた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...私は矢田部教授の無情な仕打ちに憤懣し...
牧野富太郎 「植物記」
...昨夜お春に対して挙動(ふるま)ったような邪悪無情な事をするようになった呉羽之介に相当する獰悪(どうあく)な表情を絵姿の上に加えたのであります...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...足下は無情な漢(をとこ)だ...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...無情な主人も折々水位遣らずにはいられない...
森鴎外 「サフラン」
...そんな無情なことがふさにできる筈はない...
山本周五郎 「その木戸を通って」
...校長先生に誘惑されて無情な放蕩(ほうとう)ばかりしてお出でになる義理のお父様に仕えながら...
夢野久作 「少女地獄」
...息子の無情な仕打ちを差し引いて功徳(くどく)になるように思われた...
横光利一 「南北」
...彼が無情な人間だとも考へられなかつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...無情な両親(ふたおや)になっているのである...
吉川英治 「随筆 新平家」
...お金があっても大伯父の無情な心根は柔らかくはならず...
J. S. レ・ファニュ J.S.Le Fanu The Creative CAT 訳 「ドラムガニョールの白い猫」
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