...千二少年が無実の罪におちているのを早く助け出したいと思っていた先生であるが...
海野十三 「火星兵団」
...無実の罪に泣く地頭代をはじめその親類縁者一同の身の上...
太宰治 「右大臣実朝」
...無実の罪を証明してその人を救ってやるものです...
太宰治 「新ハムレット」
...「よかあないことよ、いやよ、帰るのは」「帰るのはいやって、大事の旦那さまが嫌いかね」「嫌いよ、あんな跛なんか、見たくもないわ、飽き飽きしたから、杉本さんにどうかしてもらうわ」「それはお門違いだろう、あれじゃないか」「痴(ばか)」「だってそうじゃないか、それで事件が起ったじゃないか、やっぱり男に生れるなら、壮(わか)い、きれいな俳優(やくしゃ)のような男に生れたいものだな」「痴」「痴は、ないでしょう」「痴、痴、痴よ、そんなことを云うものは、ただ、お杉が知ってると云うから、いっしょに飯を喫(く)ってたじゃないの、それをあの悪党が、二人を伴(つ)れだして、一札(いっさつ)をかかしたじゃないの、無実の罪よ、貴方(あなた)は弁護士じゃないの、そんな無実の罪の弁護するのが、職務じゃないの」「だから、すぐ往って、旦那に逢(あ)って、奥さんは、決してそうじゃないと云って、旦那の誤解をといて、今晩伴(つ)れて往くと云うことにして来たじゃないか、りっぱに、弁護士の職務をつくして来たじゃないか」「だめよ、貴方の弁護士は、女を口説(くど)く弁護士よ」「ところが、僕は女を口説くが拙(へた)なのだ」「だめよ、そんなことを云ったって、ちゃんと種があがってるから」「それこそ無実の罪だ、こりゃ何人(たれ)かに弁護を頼まなくちゃいけない」「頼んだってだめよ」「こいつは困ったぞ」「困ったっていいよ、他(ひと)を痴にするのだもの、今日も私の家へ往って、何を云ったかも知れやしないことよ」「こいつは驚いた、奥さまは品行方正だ、そこは私が受けあうからと云って、旦那をなだめたじゃないか」「ちょいと、その品行方正が受けあえて」皮肉な笑いを見せて、「どう、杉本さん」「受けあえるさ、現に受けあって来たじゃないか」「だから、貴方(あなた)は狸(たぬき)よ」「すると、夫人は、狐(きつね)か」「痴(ばか)」「痴はもうたくさん、これから飯でも喫(く)って帰ろうじゃないか」「いやよ、帰らない、帰らないで、今晩は、貴方を引っぱり出して、どこかへ往くから」「うちの夫人に叱られる」「叱られたっていいわ、そんなこと」※お杉の家では狭い茶室(ちゃのま)へ小さな釣洋燈(つりランプ)を点(つ)けて夕飯を喫(く)っていた...
田中貢太郎 「春心」
...胸の中には無実の罪で殺されるという怒りが一ぱいになっていた...
田中貢太郎 「続黄梁」
...無実の罪だなんてそんな馬鹿なことがあるものか...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「自責」
...無実の罪でたわいもなく死んだ者が多いのであって...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...むしろ無実の罪にカッとしたからであつた...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「手早い奴」
...無実の罪のためにこの小さな村で村八分(むらはちぶ)の目にあうことは...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 荒木光二郎訳 「フランダースの犬」
...人を無実の罪に陥(おと)すのは大嫌いさ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...峰右衛門が金をバラ撒いて拵えた無実の罪で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...或(あるい)は無実の罪で死んだかも知れないあの美しい青年の為に...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...無実の罪を着ようという人間を目前にひかえて居ながら君...
浜尾四郎 「正義」
...わしを無実の罪に落とすとは怪しからんと...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...何人かは無実の罪に泣いている気の毒な人もいるに違いないと...
三浦環 「お蝶夫人」
...女が無実の罪で監獄に入れられ...
宮本百合子 「映画」
...これがほんとの無実の罪と云うのだ...
森鴎外 「雁」
...一味によって無実の罪に問われた人々は元の身分を恢復しました...
山本周五郎 「ちくしょう谷」
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