...断はつたとて持つて呉れば無下に返すわけにも行かず...
内田魯庵 「犬物語」
...同役の森岡丹後の子を無下にしりぞける事は出来なかった...
太宰治 「新釈諸国噺」
...英国主権の悲しさには王女は王宮内に絶大な権力を奮(ふる)っているこの厚顔な英国駐在官の無礼な恋を無下に斥(しりぞ)けられることもならず...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...勝負にまけてきなさったらどうな? 再三のおむかえを無下におことわりするもいかがかと思われる...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...ましてこれほど熱心に話したがっているものを無下に断るのも不本意であり...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...無下に棄(す)てたものでもなさそうなその絵を幾度となく眺め返していた...
徳田秋声 「仮装人物」
...例の二・二六事件の主体の行動を無下に〔貶〕しめることは出来ない筈だし...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...無下に手はつけられないだろう...
戸坂潤 「社会時評」
...A女も無下には断りかねました...
豊島与志雄 「霊感」
...無下に恥辱を与えるも不憫(ふびん)ゆえ...
中里介山 「大菩薩峠」
...俺たちをただ無下に...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...景物・人情などに就いても細君が故郷である東京のことばかりに重気を置いて無下に彼の田舎を軽く云ふと気嫌が悪かつた...
牧野信一 「鶴がゐた家」
...故に無下に下品なる者とのみ思ふなるべし...
正岡子規 「人々に答ふ」
...それは無下に棄てさせないでな...
室生犀星 「舌を噛み切った女」
...それを無下にななえだけの言分では取り消されなかつた...
室生犀星 「渚」
...それまでの心を無下に叱って追い返すこともない...
吉川英治 「平の将門」
...兄真雄の作――柘植嘉兵衛が持参の一刀を――無下に環が奪ろうとしたからである...
吉川英治 「山浦清麿」
...「無下に思ひ屈(くん)じにけり...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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