...ほとんど無一物でカシグランに着いた...
石川欣一 「比島投降記」
...殆ど全く無一物である...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...文字通り無一物で焼け出されて...
岩本素白 「野の墓」
...多くは無一物で、生きても死んでゐる者たちであつたが、ある冬の朝、近所のお神さんたちは、昨夜の轢死人は懐中に十円もの金を持つてゐたと噂し、そんな大金を持つてゐながら、どうしてまた死ぬ気になつたのであらうと語つてゐたので、それを聞いてゐた子供たちは大急ぎで柵をくぐり抜け、もしや、その不要な金を子供たちに分けてくれはせぬかと、一散に走つて行つたことである...
武田麟太郎 「釜ヶ崎」
...着物は薄く懐中は無一物で...
田中貢太郎 「黄金の枕」
...本来無一物でなくて...
種田山頭火 「行乞記」
...フョードル・パーヴロヴィッチはほとんど無一物で世間へ出て...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...しかしあの頭の中は無一物である」とも解せられる...
穂積陳重 「法窓夜話」
...無一物で、本當に貧しく、それはもはやお前自身をも欲せぬほどであつた、それほどお前は神聖になつてゐた...
堀辰雄 「「鎭魂曲」」
...「その人も云ってただ、おら世の中に飽きはてた、人間どもの俗悪さにあいそが尽きた、おら名も要らねえし金も要らねえ、出世もしたかあねえ、こうやって名もねえ人間になって、無一物で、誰にも知れねえように巷(ちまた)を放浪して、そうしてどこかでおっ死(ち)ぬが望みだってよ」「それは殊勝なことを聞くものだ」「その人はそう云ってただよ」杢助は無関心に云った...
山本周五郎 「似而非物語」
...彼は異郷のただ中に無一物で放置されることになつた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...無一物で東京に出てきて...
吉川英治 「親鸞の水脈」
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