...嚢(ふくろ)の口から順々に這い出して火の気のない部屋の中を...
芥川龍之介 「仙人」
...彼れは火の気のない囲炉裡(いろり)の前に...
有島武郎 「カインの末裔」
...まんざら火の気のないところに...
橘外男 「仁王門」
...小僧は火の気のない帳場格子の傍(わき)に坐って...
徳田秋声 「新世帯」
...火の気のない室(へや)に粛然(しゅくぜん)と坐っていた...
夏目漱石 「門」
...火の気のない、寒い部屋に寝ながら、富岡は、時々ゆき子の事を考へないわけではなかつたが、それは富岡自身を卑(いや)しくするに過ぎない...
林芙美子 「浮雲」
...火の気のない火鉢にしょんぼり手をかざしていた...
林芙美子 「新版 放浪記」
...火の気のない凍るような夜ふけ...
林芙美子 「新版 放浪記」
...火の気のないビルの一室は煙草の煙で濛々と悲しさうだつた...
原民喜 「火の唇」
...火の気のないビルの一室は煙で濛々(もうもう)と悲しそうだった...
原民喜 「火の唇」
...火の気のない冬は既に三度目だつた...
原民喜 「二つの死」
...火の気のないところなんで...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...火の気のない六畳で裸の脛をだきながらアコ長ととど助がぼんやり雨脚を眺めているところへ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...宇野久美子は火の気のない煖炉の前の揺椅子に掛け...
久生十蘭 「肌色の月」
...僕は火の気のない炉端に...
牧野信一 「ベツコウ蜂」
...聯が懸けられたまるで火の気のない室へ通された...
宮本百合子 「裏毛皮は無し」
...三月に入ると火の気のないところの大気は本当にちがってきますね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...店つづきになっている四畳半の火の気のない長火鉢の前へつくねんと坐って通りの方を眺めているのが例になっている...
矢田津世子 「神楽坂」
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