...己(うぬ)が勝手に尊皇愛国を狭く解釈して濫りに不敬呼ばはりするは恐れ多くも皇室の稜威(みいつ)を減ずる憚(はゞかり)ある次第だ...
内田魯庵 「犬物語」
...此頃のやうな恐水病が恐ろしいからツて濫りに不幸な浪人犬(らうにんいぬ)を撲殺し...
内田魯庵 「犬物語」
...財用を濫り民を殺し法を亂して而して亡びざる國なし...
田中正造 「亡國に至るを知らざれば之れ即ち亡國の儀に付質問」
...私などが濫りに形式論理を排除するかのように感じるのは...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...もし博士の所謂形式論理(と云うのは数学的解析などの事だ)を濫りに排除しようとするらしい弁証法論者でもいるならば...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...濫りに欠点を挙げ論駁攻撃を加え無能を懲罰するような監督者としての態度は...
戸坂潤 「社会時評」
...濫りに古典を改竄し...
内藤湖南 「支那古典學の研究法に就きて」
...重臣は「濫りに出るべき場合ではない」と...
直木三十五 「寛永武道鑑」
...幕府が、こうして、すっかり手を焼いているのに――無事に納めようとしているのに、濫りに、助太刀などに出て、事を大きくしては、上に対して、恐れがある...
直木三十五 「寛永武道鑑」
...「裁許掛でもないお身が、何故、濫りに、人を拷問なされた」新納は、口に微笑を浮べて「書生の理窟(りくつ)じゃ...
直木三十五 「南国太平記」
...斉興は、湯を一口飲んで、首を延して、名越の背後をのぞき込みながら「おのれは、何んじゃ」小藤次が「裁許掛見習、仙波八郎太と申します」「これっ――裁許掛を勤める程のものなれば、濫りに、奥へ忍び込んだ罪ぐらいは、存じておろう――」「恐れながら――」「黙れっ――直々の差出口、誰が、許したっ...
直木三十五 「南国太平記」
...一旦、袂を分った上は、事成就の暁まで、濫りに、小さい恩愛のためには、動きますまいと――」綱手の方を向いて、低く、こういうと、くるりと、仰向けになって、眼を閉じてしまった...
直木三十五 「南国太平記」
...将曹でも居ったなら、斬られたかも知れんが、あいつ、国許に戻っておるし、斉彬公の御世継の話の定まりそうな折柄、奉行も、濫りに、手をつけて、役の表に障ってならぬと、それで、無事に放免したらしい...
直木三十五 「南国太平記」
...濫りに、結束を破ると、俺が、捨てておかんぞ...
直木三十五 「南国太平記」
...そう濫りにつぶせるものではない」「幾度も...
直木三十五 「南国太平記」
...(何うしたのか――)と、感じながら、又、何かしら、自分の判らないことを考えて、沈んでいるのではなかろうかと、思うと、濫りに、口へ出して、聞けないような気がした...
直木三十五 「南国太平記」
...自分は從來濫りに人を敵視したがる癖があつた...
長塚節 「教師」
...濫りに口外されちゃわざわざお話した甲斐がないや...
横光利一 「旅愁」
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