...――おまけに霧に濡れ透つた登山服や毛布なども並み大抵の重さではありません...
芥川龍之介 「河童」
...その濡れるほどの汗に...
泉鏡花 「瓜の涙」
...濡れて上気した女の頬であり...
谷譲次 「踊る地平線」
...グラチアの息はそのヴェールをしっとりと濡(ぬ)らしていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...みんなびしょ濡れ...
中島敦 「光と風と夢」
...濡(ぬ)れた乾板(かんぱん)を持って同僚の友人の所へ見せに行ったのであるから...
中谷宇吉郎 「雪雑記」
...男からも女からも可愛がられていたし――人に怨まれる筋なんかなかったんです」「…………」「あの大夕立で濡れて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...鋪石(ほせき)がしっとりと露に濡(ぬ)れていた...
萩原朔太郎 「猫町」
...「ねえ、お母さん、こゝへ、いくつ泊るの?」「明日までよ」「明日、姫路へかへるの?」「さうね、そりやア、わからないわ、どんなになるか‥‥」「お父さん、いつ來るの?」「何處へ?」「だつて、お父さん、僕にすぐ歸るつて云つたよ‥‥」「御飯つぶをちらかさないでおあがんなさい、――あゝ、暑いねえ、なンてむしむしする晩だらう‥‥」「とてもおいしいよ、母さん食べない?」「いゝから召上れ‥‥」ふじ子は白い蚊帳のなかへはいつて、肌ぬぎになると、濡れ手拭で、胸や腕をきしきしこすつた...
林芙美子 「濡れた葦」
...大きな碧眼(へきがん)が濡れてキラキラ輝いている...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「玉手箱」
...濡れ手拭がすぐあつくなる位熱があって...
宮本百合子 「刻々」
...汗はいまになって全身を、濡らして来た...
室生犀星 「舌を噛み切った女」
...下着までが濡れたのか...
山川方夫 「演技の果て」
...手拭をかむった頭からずぶ濡れになりながら...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...千鶴子は雨に濡れた矢代の胸のボタンを爪で掻き掻き...
横光利一 「旅愁」
...帝の御衣もびッしょり濡れていた...
吉川英治 「三国志」
...そして彼はついにその虚偽を生れながらに生みつけられている人間であったという今さら追いつかない嘆涙(たんるい)にさんさんと魂を濡らして...
吉川英治 「親鸞」
...夜露に裾を濡らしながら...
吉川英治 「夏虫行燈」
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