...濡れた足袋を赤くなつて燃えて居る煖爐に自暴(やけ)に擦(こす)り附けると...
石川啄木 「病院の窓」
...四邊(あたり)の土が水に濡れてゐる...
石川啄木 「天鵞絨」
...泣(な)き濡(ぬ)れてのみ過(すぐ)すや...
薄田淳介 「白羊宮」
...こんなに濡らしちまって」この時...
中里介山 「大菩薩峠」
...お駒に膝を濡らされて以来...
野村胡堂 「黄金を浴びる女」
...ポトポトと疊を濡らします...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...暫らくは恐ろしい混亂が續き、花火の打揚げも中止されましたが、佐渡屋の裏木戸を開けて、狹い庭へ濡れたの、濡れないの、半死半生の、いろ/\掻き集めて勘定して見ると、櫓の上から水に落ちたのは、端つこの方にゐた女主人のお兼を始めとして十三人、あとの三十人あまりは、崩れ殘つた櫓の部分にゐたのと、柱や横木につかまつて難を免(まぬか)れ、落ちた十三人のうち、ひどく水を呑んだのは六人、そのうち半死半生の目にあつたのは三人、そして行方不明(ゆくへふめい)になつたのが二人もあります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...じぶんの頭から流れ出した血で濡れているのだった...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...後の一枚を濡らしてはならぬと急ぎ足で出て見ると...
北條民雄 「癩を病む青年達」
...石は波打際までもとゞかずに濡れた砂地に落ちました...
牧野信一 「晩春の健康」
...汗に濡れた着物を脱ぎ捨てて...
宮嶋資夫 「恨なき殺人」
...何の変化もない作りつけの様な総ての物の様子に倦きがきた頃不意に先((ママ))ぐ目の前の梅に濡そぼけた烏が来て止まった...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...昨日(きのう)の夕方からこの室(へや)を出ないんだぞッ……チ畜生ッ……コ……この手拭は貴様が濡らしたんだ...
夢野久作 「一足お先に」
...馬頭観音堂の濡れ縁に病葉(わくらば)や塵も払わず腰かけて...
吉川英治 「新書太閤記」
...お披露(ひろう)なねがいとう存ずる」朝露に濡(ぬ)れた陣の幕(とばり)は...
吉川英治 「源頼朝」
...ゆうべずぶ濡れになった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...敷布(しきふ)が濡(ぬ)れても...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
...濡れてもゐるかと思はるゝ色深いものであつた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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