...なお濡るるを恐れておった卑怯者も...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...づぶ濡の木立(こだち)にかけた蜘蛛の網(す)は...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...着物を濡らせしだけに止まりたりき...
大町桂月 「層雲峡より大雪山へ」
...虫のだんまり、虫の濡場、虫の荒事、虫の所作事、虫の敵討のおもしろさ...
薄田泣菫 「草の親しみ」
...つくばひのよく濡(ぬ)れてをる端居(はしい)かな昭和六年六月十六日水無月(みなづき)会大会...
高浜虚子 「五百句」
...蠅の羽を濡らす光線と...
谷譲次 「踊る地平線」
...わざと濡れて歩きつゞけた...
種田山頭火 「行乞記」
...路傍の葉露に足が濡れました...
豊島与志雄 「白蛾」
...濡手拭(ぬれてぬぐい)をさげて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...膝を濡(ぬ)らすばかり...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...油で濡れてゐる背中を揉んでゐる...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...濡れ手試いを釘へかけて...
牧逸馬 「舞馬」
...小児が水遊びして衣服を濡らしたりとて何ほどの事かあるべき...
正岡子規 「病牀譫語」
...袂を濡らして寒氣に震へながら家へ歸つた時には...
正宗白鳥 「假面」
...そうしてあんな陰気臭い伝説にまつわられない明るい自由な世界に出ようではありませんか」「ま嬉しい」と未亡人は涙に濡れた顔を上げて不意に私の手を執って握り締めた...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...彼女は涙に濡れながら...
横光利一 「日輪」
...かくて、この荒天の下、呉の旗色は、急に悪くなって、今は、総敗軍のほかなきに至ったが、若い孫権は、「何事かあらん」と、自身、中軍を引いて、濡須の岸へ、繰りだしてきた...
吉川英治 「三国志」
...「あっちへ行こう――」濡れた眼を...
吉川英治 「松のや露八」
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