...こんな泥炭の大濕地(ヤチ)にも...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...沮洳卑濕なる村上四郡を耕田と爲せり...
大町桂月 「遊羽雜感」
...濕ひ足らぬ荒びや...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...今宵(こよひ)さしぐむ月代(つきしろ)のまみの濕(うる)みに...
薄田淳介 「白羊宮」
...夏の頃の重く濕つた風とちがひ...
近松秋江 「箱根の山々」
...辯解じみるやうだが、一つには確かに其の午後の温度と、濕氣と、それから、其の中に漂ふ強い印度素馨の匂とが、良くなかつたのである...
中島敦 「環礁」
...更(さら)にじめ/\と霧(きり)のやうな雨(あめ)が斜(なゝめ)に降(ふ)り掛(か)けては軟(やはら)かに首(くび)を擡(もた)げはじめた麥(むぎ)の穗(ほ)の芒(のげ)に微細(びさい)な水球(すゐきう)を宿(やど)して白(しろ)い穗先(ほさき)を更(さら)に白(しろ)くして世間(せけん)が只(たゞ)濕(しめ)つぽく成(な)つたかと思(おも)ふと...
長塚節 「土」
...春(はる)の記憶(きおく)を新(あらた)にすべき濕氣(しつき)がむら/\と立(た)ち上(のぼ)つた...
夏目漱石 「門」
...濕(しめ)つぽく坐つて引つ切りなしに線香を上げて居るのでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...近頃お濕(しめ)りがないから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何にかを踏み消すと斯(か)うなるが」生濕りの土の上に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...でつかい足跡でもあるか」「北側は濕(しめ)り土で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...大したお濕(しめ)りがないから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...内儀のお紺は濕(しめ)つぽく佛の飾りの世話を燒き...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...濕つた灰の中から...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...鍬(くは)でも鋤(すき)でも」猿江町の甚三は小判の顏を見るとすつかり夢中になつて暗くて濕(しめ)つぽくて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...自分の呼吸で濕つた草を剥(も)ぎ取る...
堀辰雄 「不器用な天使」
...殆んどひいひいと濕つぽくやさしく...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
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