...『努力(ぬりき)』の濕(うる)ひ...
薄田淳介 「白羊宮」
...「苦しくはありませんか」と春三郎はさきの乾いた舌で乾いた唇を濕さうと力めた痛ましい光景に心を打たれ乍ら勞るやうに聞いた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...其屍を守る人の濕やかな私語と聞かれた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...その濕(ぬ)れた小犬を山の上の掛茶屋の柱に鎖で繋いでおいて...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...水(みづ)に近(ちか)い濕(しめ)つた土(つち)が暖(あたゝ)かい日光(につくわう)を思(おも)ふ一杯(ぱい)に吸(す)うて其(その)勢(いきほ)ひづいた土(つち)の微(かす)かな刺戟(しげき)を根(ね)に感(かん)ぜしめるので...
長塚節 「土」
...彼(かれ)は冷(つめ)たい風(かぜ)の吹(ふ)き通(とほ)す土藏(どざう)の戸前(とまへ)の濕(しめ)つぽい石(いし)の上(うへ)に腰(こし)を掛(か)けて...
夏目漱石 「門」
...まるで酒場(さかば)の醉(よ)ひどれのやうな兵士(へいし)の集團(しふだん)は濕(しめ)つた路上(ろじやう)に重(おも)い靴(くつ)を引(ひ)き摺(ず)りながら...
南部修太郎 「一兵卒と銃」
...地濕(ぢしめ)りで繩もすつかり痛んで居る樣子です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...左陣は生濕(なまじめ)りの路地に足跡をつけるのを嫌つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ポロポロと生濕(なまじめ)りの土がこぼれ落ちるではありませんか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...打ち濕(しめ)つてお染の守をして居りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...四五日はお濕(しめ)りにもありつきませんよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...薄暗くて妙に濕つぽい部屋です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...人(ひと)にはしたゝれるほど濕(しめ)つぽき姿(すがた)と後指(うしろゆび)さゝれながら...
樋口一葉 「われから」
...――何故、この發見はもつと意味が無くならないのだらうか? お前は、濕つた、薄暗い、そして誰も近づかうとはしない、お前の楡の木蔭に、何故これが全くはじめてのやうに、そのやうに期待に充ちて、いつまでもぐづぐづして居るのだ? そしてお前は何にそそのかされたればとて、それと反對なものを、日の當つた花壇の中に、まるで薔薇の木の名前でも搜すやうに、搜してゐるのだ? お前は何んでときどき立ち止まつては見るのか? お前の耳は何を聽いてゐるのか? そして何故、そんなうつけたやうな目ざしで、丈の高いフロックスの花のまはりを飛んでゐる一匹の蝶を見つめ出してゐるのか?(「新詩集」第一卷)詩人はその婦人の古い墓の前にいくたびか佇んだと見える...
堀辰雄 「或外國の公園で」
...林(はやし)の中(なか)は濕氣(しつき)が多(おほ)く...
本多靜六 「森林と樹木と動物」
...」「いいのかね?」芝生は柔かに濕つて來た...
横光利一 「草の中」
...冷たい濕つぽい感覺が彼等の肺臟にしみ渡るからである...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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