...――すると壓力と濕氣の爲めに紙は石面の文字のあらゆる凸凹にまんべんなく喰ひ込む...
會津八一 「拓本の話」
...夜氣が濕(しつと)りと籠つて...
石川啄木 「鳥影」
...こんなに周圍も穢い陰氣な濕つぽい家にゐて...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...花(はな)のしづくに濕(しめ)すまに...
薄田淳介 「白羊宮」
...更(さら)にじめ/\と霧(きり)のやうな雨(あめ)が斜(なゝめ)に降(ふ)り掛(か)けては軟(やはら)かに首(くび)を擡(もた)げはじめた麥(むぎ)の穗(ほ)の芒(のげ)に微細(びさい)な水球(すゐきう)を宿(やど)して白(しろ)い穗先(ほさき)を更(さら)に白(しろ)くして世間(せけん)が只(たゞ)濕(しめ)つぽく成(な)つたかと思(おも)ふと...
長塚節 「土」
...柔かく濕れる土に...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...畫は元の儘濕(しめ)つぽく四折(よつをり)に疊んであつた...
夏目漱石 「子規の畫」
...生濕(なまじめ)りの土の上へ坐つて居りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その打ち濕(しめ)つた言葉のうちにも...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...左手には金次郎が居たといふ土藏へ通ずる生濕(なまじめ)りの道があります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...生濕(なまじめ)りの赤い首環を出しました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...打ち濕(しめ)つてお染の守をして居りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お濕(しめ)りをくれるとわかれば...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...濕氣が病人にあたらない方の小窓へいつて見ると...
長谷川時雨 「夏の夜」
...革のやうな濕つた匂ひがたか子の鼻をついて...
林芙美子 「或る女」
...長い晴毛(まつげ)の下(した)に濕(うるみ)を持(も)つ...
三島霜川 「平民の娘」
...處女(むすめ)の時其のまゝの濕みを有ツて...
三島霜川 「昔の女」
...泉(いづみ)に近(ちか)い濕(しめ)りをさぐる愚(おろ)かさを繰(く)りかへすのでした...
水野仙子 「冬を迎へようとして」
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