...濃艶な唄の文句が酔ふた心をそれとなく唆(そその)かす...
石川啄木 「菊池君」
...『色懺悔』というような濃艶な元禄情味を滴(した)たらした書名が第一に人気に投じて...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...濃艶な妖怪趣味というのはすなわちそこのことであります...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...女はすこし離れている間に濃艶な女になっていて...
田中貢太郎 「荷花公主」
...白娘子が濃艶な顔をして出てきた...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...濃艶な寝間着姿の女が血のしたゝる剃刀(かみそり)を口に咬(くわ)え...
谷崎潤一郎 「少年」
...一日本人の趣味は淡泊である、清楚である、または軽快である、濃艶な、重くるしい、はでやかな、または宏大なものは好まない、だから、――というような話が今でもまだ或る程度まで真実らしく、いわれもし聞かれもしている...
津田左右吉 「偶言」
...馥郁たる濃艶な花はおろか...
豊島与志雄 「砂漠の情熱」
...役者似顔一枚絵並(ならび)に二枚続(にまいつづき)はその彩色(さいしき)濃艶ならざる処かへつて国貞が晩年(三代豊国)の作に優(まさ)れり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...お袖の濃艶な美しさと...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...続いて亜米利加(アメリカ)の百万長者ビュフォン夫人の「金の胡蝶」、聖林(ハリウッド)の大女優リカルド・コルテスの「ゴンドラ」、ドイネの名家ド・リュール夫人の「路易(ルイ)十五世時代の花籠」、……清楚なるもの、濃艶なるもの、紫花紅草、朱唇緑眉、いずれが花かと見紛(まご)うまでに、百花繚乱と咲き誇る...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...その濃艶なる画にその拙劣なる句の賛(さん)あるに至つては金殿に反古(ほご)張りの障子を見るが如く釣り合はぬ事甚だし...
正岡子規 「病牀六尺」
...更に一層濃艶なものを書いて貰ひ度い事だ...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...濃艶な契情の記憶もあざやかだ...
山本周五郎 「ゆうれい貸屋」
...君長の視線の的となっていた濃艶な若い大夫の妻であった...
横光利一 「日輪」
...お蝶の濃艶な姿はこんな情味のない席にあって一層衆目をひきながら...
吉川英治 「江戸三国志」
...女に無関心な彼の目にも迫るような濃艶な顔が...
吉川英治 「江戸三国志」
...見るからに濃艶な粧(つく)りをしていた...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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