...これは、その濁った、黄いろい光が、隅々に蜘蛛(くも)の巣をかけた天井裏に、揺れながら映ったので、すぐにそれと知れたのである...
芥川龍之介 「羅生門」
...重いもの濁ったものは水中に沈んでしかして地となった...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...ささ濁りに濁った水の中に...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...私たちのほうを振りむき赤濁りに濁った眼を糸のように細くし顔じゅうをくしゃくしゃにして笑ってみせた...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...自分の濁った狼狽振りを恥ずかしく思った...
太宰治 「ろまん燈籠」
...沼とも池とも附かない濁った水溜りがあって...
谷崎潤一郎 「少年」
...うら悲しくなまめかしい音楽が黄色く濁った波の上を流れて行った...
寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
...何か濁った汚ならしいものが浮んできた...
豊島与志雄 「道化役」
...未亡人というものはたいてい、何か濁ったもの、淀んだもの、いやらしいものを、身につけています...
豊島与志雄 「未亡人」
...風もない濁った空の途中から...
夏目漱石 「永日小品」
...けれども空が濁ったという言葉を聞いたのはこの時がはじめてである...
夏目漱石 「三四郎」
...濁った色の上に垢(あか)が容赦(ようしゃ)なく日光を反射する...
夏目漱石 「野分」
...あの濁った都会の片隅で疲れているよりも...
林芙美子 「新版 放浪記」
...あの濁った天龍川の水が...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...山の端には赤く濁った雲が漾(ただよ)っていた...
原民喜 「廃墟から」
...薄い緑色に濁ったきたならしい水の中に...
山本周五郎 「桑の木物語」
...赤く濁った瀬田川の水に...
吉川英治 「宮本武蔵」
...まるで見覚えのない牛の濁った眼が見える...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??