...また画そのものも、ただ濁った水と、湿った土と、そうしてその土に繁茂(はんも)する草木(そうもく)とを描(か)いただけだから、恐らく尋常の見物からは、文字通り一顧さえも受けなかった事であろう...
芥川龍之介 「沼地」
...赤濁(あかにご)りに濁った長江(ちょうこう)の水に...
芥川龍之介 「母」
...何か濁った亢奮(こうふん)がそれを超えて胸にひろがって行くのをじっと感じ始めていた...
梅崎春生 「日の果て」
...この水草とゴミに濁った水中では...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...赤濁りに濁った海が...
太宰治 「狂言の神」
...なんという不潔に濁った声でしょう...
太宰治 「きりぎりす」
...「水が濁ったのかしら...
太宰治 「令嬢アユ」
...濁ったままどんよりと湛えてる池の水...
豊島与志雄 「悪夢」
...けれども空が濁ったという言葉を聞いたのはこの時がはじめてである...
夏目漱石 「三四郎」
...奥のほうで濁った鋭さをもっていた...
長谷川時雨 「鉄くそぶとり」
...この地方はサハラ沙漠の入口にあたるので、一年の平均温度は摂氏の六十五度に達し、泡まじりの溜水のほか、飲料水もないひどいところで、薄濁った河には、人を喰う鰐と、人に喰われる鰐がうようよしているが、吃水八尋(トアーズ)以上の艦船が通過困難な狭い水道の奥に位置しているので、戦略的には重要な地点になっていた...
久生十蘭 「海難記」
...この煙で濁った小部屋のなかにいる自分の魂に襲いかかっているのを意識するようになった...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...濁った川にじゃぶんととびこんだ...
本庄陸男 「石狩川」
...濁った呶号(どごう)を発(はな)つと一緒に...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...濁った水を飲んでいた男が台州に来て中央支那の肥えた土を踏み...
森鴎外 「寒山拾得」
...この窯ばかりは濁ったものを見かけません...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...ちからのない濁った眼はすぐに脇へそれ...
山本周五郎 「落ち梅記」
...すると又、右手に在る八尺位の海藻の中から、濁った、けだるそうな声が聞えて来た...
夢野久作 「怪夢」
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