...濁った黄の暖かみを交えて...
芥川龍之介 「大川の水」
...その前に黄色く濁った海が拡がっている...
寺田寅彦 「海水浴」
...濁った水というよりも...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...時によって妙に濁ったり鋭く光ったりする眼...
豊島与志雄 「古井戸」
...久能はじっと濁った瞳で天井をみつめていた...
豊田三郎 「リラの手紙」
...濁った空(くう)の中に消えてしまう...
夏目漱石 「永日小品」
...人間の音声には黄色いのも濁ったのも澄んだのも太いのも色々あって...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...濁った脳漿(のうしょう)を持ったものは...
野村胡堂 「随筆銭形平次」
...その運河の汚ない濁った溜水にその向うの大きな工場の灯が...
葉山嘉樹 「生爪を剥ぐ」
...赤濁った目を吸われたのを...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...今宵は、江戸剣者一同の名誉のため、さんざんな目に逢わせて、御府内に姿を現さぬようにいたしつかわすぞ」そう、濁った声で、嚇したが、次の瞬間、「えい! 鉄扇を受けて見ろ」と叫びながら、真向から額を狙って打ってかかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...余程年も立っているので、記憶が稍(やや)おぼろげになってはいるが又却(かえっ)てそれが為(た)めに、或る廉々(かどかど)がアクサンチュエエせられて、翳(かす)んだ、濁った、しかも強い色に彩(いろど)られて、古びた想像のしまってある、僕の脳髄の物置の隅(すみ)に転(ころ)がっている...
森鴎外 「百物語」
...薄く濁ったいっぱいの水が...
山本周五郎 「似而非物語」
...薄い緑色に濁ったきたならしい水の中に...
山本周五郎 「桑の木物語」
...薄暗い狭い部屋の空気は濁った汗の匂いで鼻を打った...
横光利一 「旅愁」
...そんな家庭へ、お人形のように貰われて、そして、伯父の傀儡(かいらい)になって、何の生き甲斐(がい)があるでしょう」「あなたの性格は、ああいう、濁った中に、物質的にだけ生きるには、あまりに清純なんですよ」「清純? ……そんなことばを聞くと、私、怖ろしくなりますわ、いつ、今に、あの伯父が私を黄金の犠牲(にえ)にするか……」「奈都子さん」彼女のうつつな感傷は、いつのまにか、今村の両手の中に、つよくゆすぶられていた...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...赤く濁った泥湖(どろうみ)が見晴らされた...
吉川英治 「茶漬三略」
...どんよりと濁った層を通してのみ太陽を見...
蘭郁二郎 「脳波操縦士」
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