...血管の浮いた濁った眼で宇治はじっと高城を見つめていた...
梅崎春生 「日の果て」
...濁ったことをしたので...
太宰治 「悶悶日記」
...濁った喧騒のために下の庭で薔薇が花開く音が聞こえなくなってしまう...
O. H. ダンバー O. H. Dunbar The Creative CAT 訳 「感覚の殻」
...都会の上に広がる濁った空気を透して見るのでそれが妙な赤茶けたあたたかい色をしていた...
寺田寅彦 「春六題」
...この業績を濁ったものにしているのである...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...そして昼頃から曇って来た静かな空気の中にゴロッチョゴロッチョと濁った声を伝えている...
富田木歩 「小さな旅」
...同じ濁った水が交流しているし...
豊島与志雄 「蛸の如きもの」
...人間を包む窒息しそうな濁った熱っぽい空気を今はじめて気がついたともいえよう...
中井正一 「蓄音器の針」
...これまた濁った低い空のほの明りを...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...黒褐色に濁った水は...
中谷宇吉郎 「異魚」
...とある裏町に濁った溝川(みぞがわ)が流れている...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...あの濁った都会の片隅でへこたれているより...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...この煙で濁った小部屋のなかにいる自分の魂に襲いかかっているのを意識するようになった...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...彼女等が濁った声で喋舌(しゃべ)り合っているのは絶えず聞えてきた...
堀辰雄 「三つの挿話」
...濁った流れは青い海水のなかに...
本庄陸男 「石狩川」
...今宵は、江戸剣者一同の名誉のため、さんざんな目に逢わせて、御府内に姿を現さぬようにいたしつかわすぞ」そう、濁った声で、嚇したが、次の瞬間、「えい! 鉄扇を受けて見ろ」と叫びながら、真向から額を狙って打ってかかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...空は淋しく濁った一面の白に感じ...
宮本百合子 「芸術が必要とする科学」
...赤く濁った瀬田川の水に...
吉川英治 「宮本武蔵」
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