...濁った朱の色を透(す)かせた窓は流れ風にでも煽(あお)られたのか...
芥川龍之介 「馬の脚」
...心濁った人には見えないものである...
ジェイムズ・アレン James Allen 大久保ゆう訳 「朝に想い、夜に省みる」
...濁ったようなその灯影が...
泉鏡花 「婦系図」
...何か電報があったか」濁ったその眼が...
梅崎春生 「桜島」
...この水草とゴミに濁った水中では...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...後者の方は比較すると濁ったものにしか見えなかった...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...うすのろらしい濁った眼でぼんやり私を見上げていた...
太宰治 「黄金風景」
...なんという不潔に濁った声でしょう...
太宰治 「きりぎりす」
...重い濁った空気を伝わって来た...
徳田秋声 「足迹」
...濁ったようなやつだ...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...心のうちには重く濁った雰囲気が澱んでいた...
豊島与志雄 「生あらば」
...舞台は色づき濁った空気のためにかえって小さく甚(はなはだ)遠く見えた...
永井荷風 「すみだ川」
...太陽はそのうす濁った砂の霧の奥から...
中島敦 「虎狩」
...汚なく濁った水と...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...濁った頭とに悩まされて...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...みじめな、暗い、濁った日々、ふり返ってみれば屈辱と悲哀に塗りつぶされた月日のようだ...
山本周五郎 「追いついた夢」
...祖母はその濁った眼を天井に放ってしきりに考えている様子であったが...
夢野久作 「謡曲黒白談」
...そんな家庭へ、お人形のように貰われて、そして、伯父の傀儡(かいらい)になって、何の生き甲斐(がい)があるでしょう」「あなたの性格は、ああいう、濁った中に、物質的にだけ生きるには、あまりに清純なんですよ」「清純? ……そんなことばを聞くと、私、怖ろしくなりますわ、いつ、今に、あの伯父が私を黄金の犠牲(にえ)にするか……」「奈都子さん」彼女のうつつな感傷は、いつのまにか、今村の両手の中に、つよくゆすぶられていた...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??