...赤く濁った眼で僕を見返した...
梅崎春生 「蜆」
...宅(うち)の前を流れている濁った堀川(ほりかわ)に沿うて半町ぐらい上ると川は左に折れて旧城のすその茂みに分け入る...
寺田寅彦 「花物語」
...糸車を繰るような濁ったしかし鋭い声が聞こえだす...
寺田寅彦 「病院の夜明けの物音」
...鏡台を据えた縁側の障子からは、薄い日影がさして、濁った顔の色が、黄色く鏡に映っていた...
徳田秋声 「爛」
...濁った東京の空気に還(かえ)された瞬間...
徳田秋声 「爛」
...そして昼頃から曇って来た静かな空気の中にゴロッチョゴロッチョと濁った声を伝えている...
富田木歩 「小さな旅」
...渦巻き濁った蒸(む)れ臭い方へと...
豊島与志雄 「悪夢」
...とびだしてる濁った灰色の眼...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...時によって妙に濁ったり鋭く光ったりする眼...
豊島与志雄 「古井戸」
...汚い濁った茶色を帯びる...
中谷宇吉郎 「画業二十年」
...どんよりと濁った眼をただあけているのでは心細い次第である...
中谷宇吉郎 「抗議する義務」
...もっとも濁った雲が幾重(いくえ)にも空を鎖(とざ)しているので...
夏目漱石 「行人」
...この地方はサハラ沙漠の入口にあたるので、一年の平均温度は摂氏の六十五度に達し、泡まじりの溜水のほか、飲料水もないひどいところで、薄濁った河には、人を喰う鰐と、人に喰われる鰐がうようよしているが、吃水八尋(トアーズ)以上の艦船が通過困難な狭い水道の奥に位置しているので、戦略的には重要な地点になっていた...
久生十蘭 「海難記」
...どうして飲み足りない――血濁った目で...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...老婆は濁った目で兵士たちのホームをみて...
山川方夫 「その一年」
...小丼の中にはモウ濁った醤油と...
夢野久作 「近世快人伝」
...うす濁った造花の桜の花曇りも上野の花のように見えて来る...
横光利一 「旅愁」
...赤く濁った瀬田川の水に...
吉川英治 「宮本武蔵」
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