...むろん酒(さけ)もございました……濁(にご)っては居(お)りませぬが...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...其心、夜に似て暗憺、いひしらず、汚れにたれど、また一種の美、たとへば、濁江の底なる眼、哀憐悔恨の凄光を放つが如きもの無きにしもあらず...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...渾(こん)としてそれ濁るがごとし(二二)...
岡倉覚三 村岡博訳 「茶の本」
...すこしの濁気(にごりげ)のない無邪気な光を湛(たた)えていたように思われる...
田中貢太郎 「火傷した神様」
...空の濁っているのが倫敦(ロンドン)の方角らしい...
谷譲次 「踊る地平線」
...ひた/\と濁つた波が石垣に打ち寄せてゐました...
近松秋江 「初雪」
...温い真白な濁酒をあおっていると...
豊島与志雄 「どぶろく幻想」
...また情事に濁らされてもいたが...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...女の濁つたやうな太い訛つた聲で然かも膝をついて丁寧にいふのが氣に入つたから余は即座にそれでもいゝといつた...
長塚節 「旅の日記」
...とろんと濁つた眼とぶつかつた...
南部修太郎 「疑惑」
...青年は語尾を濁らしたが...
橋本五郎 「自殺を買う話」
...互に交錯すると一種の濁音となつて響いて来た...
牧野信一 「眠い一日」
...斯んな虚言を吐く男の眼は何んなに上釣り且つ濁りつつ光っていることであろうか...
松永延造 「職工と微笑」
...あとさき濁らせ逃げてしまふのがおめえの性分だ...
室生犀星 「命」
...一つは濁って洗濯にしか使われず...
柳田國男 「日本の伝説」
...この人々ははっきりとジの音を濁(にご)って呼んでいた...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...土色に濁っていた...
山本周五郎 「青べか物語」
...すがすがしく濁りのない顔に返った...
山本周五郎 「青べか物語」
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