...木華開耶姫命のことや何かでお茶を濁しはしたものゝ...
石川欣一 「山を思う」
...台所の隅に、その一升瓶があるばっかりに、この狭い家全体が、どろりと濁って、甘酸っぱい、へんな匂いさえ感じられ、なんだか、うしろ暗い思いなのである...
太宰治 「酒ぎらい」
...神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を...
太宰治 「走れメロス」
...ぼんやりと赤く濁染(にじ)んでいる...
谷崎潤一郎 「少年」
...そのどんよりと濁つた眼つきには踊りが餘り手に入り過ぎたせゐでもあらうが...
谷崎潤一郎 「二月堂の夕」
...中に濁りを含んだ清らかさになった...
豊島与志雄 「子を奪う」
...大いに気に入りました」と御茶を濁して失礼した...
中谷宇吉郎 「アラスカ通信」
...注がれた濁酒に手も出さずにうつむいていたが...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...薄白く濁った湯を見るとまた嫌悪が突き出て来そうなので...
北條民雄 「いのちの初夜」
...ゆうべまざまざと見た濁った水は...
堀辰雄 「幼年時代」
......
前田普羅 「普羅句集」
...怒鳴るやうに大きく濁つた滝野の声が響いた...
牧野信一 「蝉」
...全(まった)くその水の濁りようときたら素敵(すてき)に高尚(こうしょう)なもんでした...
宮沢賢治 「イギリス海岸」
...すこしも濁ってない青い水底を考えましたが...
室生犀星 「不思議な国の話」
...朝鮮では今も濁酒(にごりざけ)(マッカリ)の桝(ます)であると同時に盞(さかずき)なのである...
柳宗悦 「全羅紀行」
...濁った血が躯じゅうに廻ってかすを溜(た)めるから...
山本周五郎 「季節のない街」
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與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...彼らはただ天下大乱のなかに泳ぎ迷っていた濁流の群魚にすぎない...
吉川英治 「私本太平記」
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