...連日の雨で薄濁りの水は地平線に平行している...
伊藤左千夫 「奈々子」
...その憎悪は何か親近な感情に裏打ちされて、濁っている...
梅崎春生 「風宴」
...・霧雨のしつとりと松も私も茨がもう咲いてゐる濁つた水・ふつたりやんだりあざみのはなだらけ・あやめあざやかな水をのまうなにがなしラヂオに雑音のまじるさへ・晴れさうな水が湧いてゐる・うごいて蓑虫だつたよやうやく晴れてきた桐の花・いちじくの葉かげがあるおべんたうを持つてゐる五月十八日雨...
種田山頭火 「行乞記」
...大河らしく濁流滔々として流れている(渡船賃は市営なので無料)...
種田山頭火 「四国遍路日記」
...黄色く濁った川筋がきらきらと光り狂うのを見て言った...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...川越(かわごえ)街道の眺めが一体に濁っていた...
寺田寅彦 「異質触媒作用」
...水がどんより濁っている...
豊島与志雄 「田園の幻」
...空気は塵芥に濁り...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...自棄(やけ)のやん八で国府(こくぶ)と濁酒(どぶろく)に贅を尽していたのだと睨んだのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...妙に言葉尻の濁るのはどうすることも出來ない樣子でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...我が心は清めるか濁れるか」封じ目ときて取出(とりいだ)せば一尋(ひとひろ)あまりに筆のあやもなく...
樋口一葉 「軒もる月」
...斯んな虚言を吐く男の眼は何んなに上釣り且つ濁りつつ光っていることであろうか...
松永延造 「職工と微笑」
...うはべは濁流滿々として威勢はよいが...
室生犀星 「めたん子傳」
...俄而主僧温濁酒一瓶...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...どんよりと空の濁(にご)った日ばかりがつづいてたわ...
山川方夫 「暑くない夏」
......
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...濁世(だくせい)のうちにも...
吉川英治 「三国志」
...鳴るわ鳴るわ」「怒(いか)るわ怒るわ――鳴門の渦!」「洗えや鳴門――」「澆季(ぎょうき)の濁り世」ポーン! と三位卿...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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