...いつも暗澹(あんたん)としている筈(はず)である...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...暗澹たる戦雲が再び天地を掩(おお)うに至ると見るのである...
大隈重信 「列強環視の中心に在る日本」
...農産物はその種類の何たるを問はず低廉無此或(あ)るものは市場(いちば)へ出荷するもその運賃さへとれぬやうな次第殊(こと)に当地方の苺(いちご)耕作者の如(ごと)き実に惨澹(さんたん)たるものにて破綻(はたん)又破綻...
相馬泰三 「新らしき祖先」
...惨澹(さんたん)たる懊悩(おうのう)の影が現れ...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...ことにその斬られっぷりというのが無残なもので、腹を下から裂かれたり、口だけを輪切りにされたり、前脚を二つ斬り落されて、まだビクビク息を引いていたり、真向に断ち割られて二言ともなくのめっていたり、戸にハサまれて頭を砕かれていたり、その惨澹たる、さながら、わざとした曲斬りか、そうでなければ、こういうふうに斬りこまざいて、他から持参して、わざわざここへ、こんなふうに蒔(ま)き散らして行った奴があるのではないか、とさえ想わせられました...
中里介山 「大菩薩峠」
...又暗澹とした気持ちに沈んでゐたが...
中村地平 「悪夢」
...僕の生きてゐる眼の前は暗澹としてゐたが...
原民喜 「魔のひととき」
...暗澹(あんたん)たる顔になって...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...宇津が暗澹たる気持で相手の鬚を眺めてゐると...
北條民雄 「間木老人」
...北國のやうな暗澹たる色を現してゐることも偶(たま)にはあつた...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...「澹父の何人なるやは未だ考へずと雖も...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...澹所は釧雲泉(くしろうんせん)と同庚(どうかう)で四十六歳...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...渡辺はなぜこんな冷澹(れいたん)な心持になっていられるかと...
森鴎外 「普請中」
...という実に今から考えても夢のような惨澹たる時代であった...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...「……いかが成行やらん」と暗澹としてゐた世間の顏の中に...
吉川英治 「折々の記」
...惨澹たる魏の敗北に始まって全潰状態に終り...
吉川英治 「三国志」
...その暗澹(あんたん)を切って飛ぶ白い火...
吉川英治 「新書太閤記」
...暗澹(あんたん)たるものが又...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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