...それが何日か続いた今日、かうして師匠の枕もとで、末期の水を供する段になると、道徳的に潔癖な、しかも存外神経の繊弱な彼が、かう云ふ内心の矛盾の前に、全然落着きを失つたのは、気の毒ではあるが無理もない...
芥川龍之介 「枯野抄」
...潔癖などということは...
太宰治 「如是我聞」
...正直なところそれは義理堅いと云うよりも寧ろ極端な我がままと潔癖なのだと...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...それだから蓄音機は潔癖な音楽家から軽視されあるいは嫌忌(けんき)されるのもやむを得ない事かもしれない...
寺田寅彦 「蓄音機」
...また一方においてあまりに細心で潔癖なために...
寺田寅彦 「比較言語学における統計的研究法の可能性について」
...中野重治は言葉の勘に実に潔癖な評論家である...
戸坂潤 「文芸評論の方法について」
...潔癖な伯母さんははじめて□□さんを見たときからその垢臭いのを気にして彼が三足さがらないうちにこちらから引返してしまふくらゐだつたが...
中勘助 「銀の匙」
...潔癖な佐治君は坐るに快くなかつたのであらう...
長塚節 「教師」
...愚図々々に二人女から遠ざかって良い子になろうという金之助の態度に潔癖な平次は...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...氏家さんを助けられませんよ」「氏家さんは潔癖な方で...
野村胡堂 「身代りの花嫁」
...潔癖な眞鍋にはそこまでつきつめてはゆけない...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...三億円ばかり回収不能になった……大池氏は潔癖なひとだったようで...
久生十蘭 「肌色の月」
...という順序に総てが整然とした父の潔癖な性格と...
室生犀星 「幼年時代」
...その烈しいまでの潔癖な眼識を「旋毛曲り」としてみていた...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...安芸は単に一徹で潔癖な老人になってしまった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...潔癖な日本人には手を洗ふにも十分に水の使用の出来ないのが不自由である...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...母は父以上に潔癖なひとである...
吉川英治 「私本太平記」
...朱実は潔癖な弾(はず)みを与えて...
吉川英治 「宮本武蔵」
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