...それが何日か続いた今日、かうして師匠の枕もとで、末期の水を供する段になると、道徳的に潔癖な、しかも存外神経の繊弱な彼が、かう云ふ内心の矛盾の前に、全然落着きを失つたのは、気の毒ではあるが無理もない...
芥川龍之介 「枯野抄」
...潔癖な彼が、どんな風に誤解しないとも限らない...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「梟の眼」
...正直なところそれは義理堅いと云うよりも寧ろ極端な我がままと潔癖なのだと...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...それでも気の広い学者は笑って済ますが気の狭い潔癖な学者のうちには...
寺田寅彦 「ジャーナリズム雑感」
...また一方においてあまりに細心で潔癖なために...
寺田寅彦 「比較言語学における統計的研究法の可能性について」
...中野重治は言葉の勘に実に潔癖な評論家である...
戸坂潤 「文芸評論の方法について」
...潔癖な少年は一度も返事をしなかったが...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...自我主義の潔癖な彼女は...
豊島与志雄 「条件反射」
...潔癖な伯母さんははじめて□□さんを見たときからその垢臭いのを気にして彼が三足さがらないうちにこちらから引返してしまふくらゐだつたが...
中勘助 「銀の匙」
...氏家さんを助けられませんよ」「氏家さんは潔癖な方で...
野村胡堂 「身代りの花嫁」
...潔癖な眞鍋にはそこまでつきつめてはゆけない...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...いつも潔癖なる自意識が見張りしていた...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...今までメアリは潔癖な人間だったが...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...その勤勉が彼の趣味の潔癖な感じ易さと闘いながら...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...口かずの少ない、潔癖な、気のつよい性分で朋輩(ほうばい)とのつきあいはあまりないほうであった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...昔からふしぎなくらい女には潔癖な方ですが...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...」東野とのその後の潔癖な事情を...
横光利一 「旅愁」
...朱実は潔癖な弾(はず)みを与えて...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索