...然しその河は漾々(ようよう)として無辺際から無辺際へと流れて行く...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...纜(もやい)も結ばず漾(ただよ)わせたのに...
泉鏡花 「悪獣篇」
...芥子粒(けしつぶ)より小さい二粒の涙を漾(たた)えているのが見える...
魯迅 井上紅梅訳 「不周山」
...十二月五日漱石虚子様その奥には漾虚碧堂蔵書という隷書(れいしょ)の印が捺(お)してある...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...ただ漾々と身辺に動いてゐる...
太宰治 「お伽草紙」
...そうしてその薄明の漾々(ようよう)と動いている中を...
太宰治 「トカトントン」
...天の一方には弦月(げんげつ)が雲間から寒い光を投げて直下の海面に一抹の真珠光を漾(ただよ)わしていた...
寺田寅彦 「札幌まで」
...浪に漾(ただよ)っている海猫(うみねこ)の群れに近づくころには...
徳田秋声 「仮装人物」
...その波に漾(ただよ)いながら独身時代の庸三の青壮年期も...
徳田秋声 「仮装人物」
...かすかな小皺を漾(たゞよは)せて冷やかに笑つた...
長與善郎 「青銅の基督」
...ジュと音がして艪(ろ)の足で掻き分けられた浪(なみ)の上を揺(ゆ)られながら漾(ただよ)っていった...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...まだ死臭がかすかに漾つてゐるやうでしたが...
原民喜 「書簡」
...函から喰(は)み出た玉葱(たまねぎ)があたりに漾(ただよ)っていた...
原民喜 「夏の花」
...山の端には赤く濁つた雲が漾つてゐた...
原民喜 「廃墟から」
...いつも波間に漾つてゐるやうな気持で雑沓のなかを歩いてゐた...
原民喜 「火の唇」
...ふと仄明(ほのあか)りに漾(ただよ)っているボートが映る...
原民喜 「火の唇」
...琉璃鏡面漾新晴...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...馥郁(ふくいく)たる香気(こうき)すら漾(ただよ)っているのが感じられた...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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