...折角(せっかく)橋を渡りかけた素戔嗚の心を蕩漾(とうよう)させた...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...七日(なぬか)も漾(たゞよ)ひつゝ...
泉鏡太郎 「麻を刈る」
...漂々として波に漾(ただよ)えるがごとく顕(あらわ)る...
泉鏡花 「海神別荘」
...水のまにまに漾(たゞよ)へば...
アルテュル・ランボオ 上田敏訳 「醉ひどれ船」
...『漾虚集』本屋より既に献上仕り候やちょっと伺い候...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...あまつさえそこに往来する王様の姿もが共にあい漾映して真の動ける十万億仏土を顕現したるがさまであったという...
中井正一 「うつす」
...午過(ひるすぎ)にもよくこの蕩漾(とうよう)を味(あじわ)った...
夏目漱石 「思い出す事など」
...右左へ漾(ただよ)いながら...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...ジュと音がして艪(ろ)の足で掻き分けられた浪(なみ)の上を揺(ゆ)られながら漾(ただよ)っていった...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...女は長い睫(まつげ)の奥に漾(ただよ)うているような眼で鴉を見詰めながら「あの鴉は五羽います」といったぎり小供の問には答えない...
夏目漱石 「倫敦塔」
...友人と別れた後の鋪道にはまたぼんやりと魔の影が漾(ただよ)っていた...
原民喜 「死のなかの風景」
...函から喰(は)み出た玉葱(たまねぎ)があたりに漾(ただよ)っていた...
原民喜 「夏の花」
...そこからこの函は放り出されて漾って来たものであった...
原民喜 「夏の花」
...そこからこの函は放り出されて漾つて来たものであつた...
原民喜 「夏の花」
...どこからともなしに死臭の漾つて来るのが感じられた...
原民喜 「廃墟から」
...いつも波間に漾つてゐるやうな気持で雑沓のなかを歩いてゐた...
原民喜 「火の唇」
...漾々(ようよう)として波のまにまにただよい...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神童」
...部屋の中に漾(ただよ)うている桃色の光りを白眼(にら)みまわした...
夢野久作 「白菊」
便利!手書き漢字入力検索