...用捨(ようしゃ)なく私の精神を蕩漾(とうよう)させてしまいます...
芥川龍之介 「疑惑」
...かかる者のみ漾(ただよ)う風情...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...放浪の陰の漾(ただよ)った...
泉鏡花 「浮舟」
...不知火(しらぬひ)の浮(う)いて漾(たゞよ)ふ都大路(みやこおほぢ)の電燈(でんとう)を見(み)ながら...
泉鏡太郎 「大阪まで」
...画房や前栽(せんざい)に漾(ただよ)う一種異様な蕭散(しょうさん)の気分に浸らなければその画を身読する事は出来ないが...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...およそ似つかしからぬ艶めいた香を漾(ただよ)わせるのだった...
海野十三 「鍵から抜け出した女」
...十二月五日漱石虚子様その奥には漾虚碧堂蔵書という隷書(れいしょ)の印が捺(お)してある...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...漾(ただよ)うは笑の波だと云う...
夏目漱石 「虞美人草」
...僕も漾虚集丈でつきた譯でもないから是から又何ぞかく積りで居る...
夏目漱石 「鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年」
...友人と別れた後の鋪道にはまたぼんやりと魔の影が漾(ただよ)っていた...
原民喜 「死のなかの風景」
...白い大きな雲がキラキラと光つて漾つた...
原民喜 「鎮魂歌」
...函から喰(は)み出た玉葱(たまねぎ)があたりに漾(ただよ)っていた...
原民喜 「夏の花」
...どこからともなしに死臭の漾(ただよ)って来るのが感じられた...
原民喜 「廃墟から」
...僕は宙に漾つてゐて...
原民喜 「火の子供」
...諏訪湖水面漾々たり...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...部屋の中に漾(ただよ)うている桃色の光りを白眼(にら)みまわした...
夢野久作 「白菊」
...流れ漾(ただよ)い...
夢野久作 「木魂」
...馥郁(ふくいく)たる香気(こうき)すら漾(ただよ)っているのが感じられた...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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