...脚が搦(から)んで漾(ただよ)う処へ...
泉鏡花 「婦系図」
...芥子粒(けしつぶ)より小さい二粒の涙を漾(たた)えているのが見える...
魯迅 井上紅梅訳 「不周山」
...切子の美しい香水瓶が憐れに破われて煙臭い塵臭い中に床しいホワイトローズの香気を漾(ただよ)わしていた...
内田魯庵 「灰燼十万巻」
...『漾虚集』を御批評下さってありがたい...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...帰つてからも遅くまで月光の漾(たゞよ)ひ流れてゐる野面(のづら)を眺めながら話してゐた...
徳田秋聲 「或売笑婦の話」
...人の心も明暗昇沈の境を漂漾する...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...漾(ただよ)うは笑の波だと云う...
夏目漱石 「虞美人草」
...前田漾子(まえだようこ)夫人...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...まだ死臭がかすかに漾つてゐるやうでしたが...
原民喜 「書簡」
...そこからこの函は放り出されて漾って来たものであった...
原民喜 「夏の花」
...どこからともなしに死臭の漾(ただよ)って来るのが感じられた...
原民喜 「廃墟から」
...澄んだ空気の中に草の芽や花の蕾の匂ひが漾つて...
原民喜 「雲雀病院」
...たしかにそこに蕩漾たる春のまぼろしの長酔極みなき紗窗の彼方に浮んでゐるのだ...
牧野信一 「湖の夢」
...漾々(ようよう)として波のまにまにただよい...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神童」
...他の火は水平に連(つらな)りて蕩漾(とうよう)するも...
武者金吉 「地震なまず」
...物悲しい微笑を漾(ただよ)わしている博士の顔を仰いだが又...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...腥(なまぐさ)く漾(ただよ)っているのだった...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...馥郁(ふくいく)たる香気(こうき)すら漾(ただよ)っているのが感じられた...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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