...漸(やうや)く山男の頭の上へその水瓶の水を注ぎ下いた...
芥川龍之介 「きりしとほろ上人伝」
...理想から漸次現実に引下って来た傾きがある...
大杉栄 「男女関係について」
...漸く八郡に渉る所の調査が稍々出來ましたから...
田中正造 「公益に有害の鑛業を停止せざる儀に付質問書」
...秀子は私の様子を見て、何かに慴えたように肩を縮め、暫くじっと私の眼の中を覗き込んだ後に、漸く答えた...
豊島与志雄 「理想の女」
...私が生れぬ前から五六年もかかって漸(ようや)くに埋め得たと云(い)う事で...
永井荷風 「狐」
...丸山の腹に硫酸が浸漸(しんぜん)をはじめたらしく...
中里介山 「大菩薩峠」
...漸くというと厭々(いやいや)読んだように聞こえるかも知れませんが...
「木下杢太郎著『唐草表紙』序」
...二三年前に漸(ようや)く出来上ったものだったのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...漸(ようや)く女難を避けたと伝記は伝えております...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...では」鐵之助は漸く放免されたやうな心持で立去りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...無暗(むやみ)に勉強して蘭学も漸(ようや)く方角の分るようになるその片手に...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...漸く熟していつたのではあるまいか...
堀辰雄 「或外國の公園で」
...漸(や)っと見知らない鳥が二三羽翔(か)け去(さ)っただけなのに気がつくような事もあった...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...漸(や)っとお立ち上がりになった...
堀辰雄 「ほととぎす」
...)一九一九年戰亂漸く治るや...
堀辰雄 「リルケ年譜」
...愛松隠士漸将仙...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...漸う山々が白くなりだした頃からはじまる...
矢田津世子 「凍雲」
...ここまで来ると牧水の歌が漸く口へのぼって来る...
横光利一 「欧洲紀行」
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