...本能の洪水が漲るやうに押寄せて来てゐる...
田山録弥 「心の絵」
...動脈の漲る音が高く明らかに鳴っている...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...もしもの事があったら老い衰えた両親や妻子はどうなるのだと思うと満身の血潮は一時に頭に漲る...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...内に漲る力、中から盛りあがってくる精神が、新たな建設には必須の条件である...
豊島与志雄 「神話と青春との復活」
...雲のまだ收まるか收まらぬに鹿股川は濁流が漲るのである...
長塚節 「痍のあと」
...漲る瘡蓋(かさぶた)模様のやうに...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...一瞬相手の顔にさつと漲る怒気はまるで鋭利な刃もののやうにおもへた...
原民喜 「飢ゑ」
...突然あたり一杯に生命感が漲ることがあつた...
原民喜 「魔のひととき」
...海さへ為にふくれ上つて信濃川の漲るやうな心持が北海の上にも見られた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...驚愕(きょうがく)の色が漲るのだった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...この評伝の美しさ、漲る誠意と、その土台をなして実に活々と確かに歴史の現実の諸関係をつかみ出している科学者としての方法は、ミケルアンジェロの芸術の本質をはっきりと描き出しているのみならず、当時の複雑きわまる社会と芸術との活きた画が立体的に動的にくりひろげられてゆくその道すじに、人々の心におどろくような新鮮な実感をもって、今日の世の中や芸術のありように対する新たな目ざめを覚えさせて行く...
宮本百合子 「現代の心をこめて」
...苦しいまでに漲る気魄にわななきながら...
三好達治 「測量船」
...己の口一ぱいに血が漲るのを感じた...
アンリ・ド・レニエエ Henri de Regnier 森林太郎訳 「復讐」
......
横瀬夜雨 「花守」
...殺気漲る手術室だ...
横光利一 「欧洲紀行」
...夕日に漲る海面を下にしたバルコオンで食事の支度を待つのだった...
横光利一 「旅愁」
...彼は風景全体に漲る言語に絶する偉大さを語り...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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