...そして空気に漲る騒擾と不穏の気配を...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...そのもくもくと漲るやうにわき出してゐる清水を眺めた...
田山花袋 「道綱の母」
...それと同時に窕子の頭にはいろいろなことが一杯に漲るやうにあつまつて押寄せて來た...
田山花袋 「道綱の母」
...もしもの事があったら老い衰えた両親や妻子はどうなるのだと思うと満身の血潮は一時に頭に漲る...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...或は山江水漲る間を通して足利にいる...
長塚節 「草津行」
...利根川や漲る水に打ち浸る楊吹きしなふ秋の風かもおぼほしく水泡吹きよする秋風に岸の眞菰に浪越えむとす同廿三日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...女のつた目には涙の漲るのを見た...
長塚節 「隣室の客」
...漲る瘡蓋(かさぶた)模様のやうに...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...何となく真珠色の光の漲るこの席上には不似合な風体(ふうてい)ですが...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...突然あたり一杯に生命感が漲ることがあつた...
原民喜 「魔のひととき」
...北海の唯ならぬかな漲るといふこと信濃川ばかりかは越後の寺泊で五月雨に降りこめられた時の歌...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...驚愕(きょうがく)の色が漲るのだった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...全體に漲る若々しい詠嘆的なところがわれながら懷しいので...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...この評伝の美しさ、漲る誠意と、その土台をなして実に活々と確かに歴史の現実の諸関係をつかみ出している科学者としての方法は、ミケルアンジェロの芸術の本質をはっきりと描き出しているのみならず、当時の複雑きわまる社会と芸術との活きた画が立体的に動的にくりひろげられてゆくその道すじに、人々の心におどろくような新鮮な実感をもって、今日の世の中や芸術のありように対する新たな目ざめを覚えさせて行く...
宮本百合子 「現代の心をこめて」
...光漲るなかに何と大きい精神の慰安が在ることでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...精悍の気が漲るというのも「眉宇の間」ですもの...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...漲る雨水の中に立往生してしまうことなどもままあった...
吉川英治 「三国志」
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