...黄金火の漲る都会を眼がけて走り寄るのは当然である...
石川三四郎 「吾等の使命」
...それと同時に窕子の頭にはいろいろなことが一杯に漲るやうにあつまつて押寄せて來た...
田山花袋 「道綱の母」
...もしもの事があったら老い衰えた両親や妻子はどうなるのだと思うと満身の血潮は一時に頭に漲る...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...嬉しそうな色が父親の柔和な顔に漲る...
寺田寅彦 「やもり物語」
...内に漲る力、中から盛りあがってくる精神が、新たな建設には必須の条件である...
豊島与志雄 「神話と青春との復活」
...雲のまだ收まるか收まらぬに鹿股川は濁流が漲るのである...
長塚節 「痍のあと」
...一瞬相手の顔にさつと漲る怒気はまるで鋭利な刃もののやうにおもへた...
原民喜 「飢ゑ」
...突然あたり一杯に生命感が漲ることがあつた...
原民喜 「魔のひととき」
...何故彼樣で御座りませうと言ひかけて思ひ出しの涙むねの中に漲るやうに...
樋口一葉 「十三夜」
...驚愕(きょうがく)の色が漲るのだった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...斯うした種々の気持は皆一まとめになって物音もしない熱気の漲る病人の小部屋にながれて行くのであった...
宮本百合子 「黒馬車」
...精悍の気が漲るというのも「眉宇の間」ですもの...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...苦しいまでに漲る気魄にわななきながら...
三好達治 「測量船」
...己の口一ぱいに血が漲るのを感じた...
アンリ・ド・レニエエ Henri de Regnier 森林太郎訳 「復讐」
...色セメントや色ペンキで近代様式の数寄(すき)を凝らした家並み……意匠の変化を極めた飾窓……往来に漲る光りの洪水……どよめき渡る電車...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
......
横瀬夜雨 「花守」
...夕日に漲る海面を下にしたバルコオンで食事の支度を待つのだった...
横光利一 「旅愁」
...漲る雨水の中に立往生してしまうことなどもままあった...
吉川英治 「三国志」
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