...黄金火の漲る都会を眼がけて走り寄るのは当然である...
石川三四郎 「吾等の使命」
...そして空気に漲る騒擾と不穏の気配を...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...白い埃がぱつとあたりに漲るやうに(あが)つた...
田山録弥 「草みち」
...そのもくもくと漲るやうにわき出してゐる清水を眺めた...
田山花袋 「道綱の母」
...大都市の冬に特有な薄い夜霧のどん底に溢れ漲る五彩の照明の交錯の中をただ夢のような心持で走っていると...
寺田寅彦 「初冬の日記から」
...嬉しそうな色が父親の柔和な顔に漲る...
寺田寅彦 「やもり物語」
...内に漲る力、中から盛りあがってくる精神が、新たな建設には必須の条件である...
豊島与志雄 「神話と青春との復活」
...雲のまだ收まるか收まらぬに鹿股川は濁流が漲るのである...
長塚節 「痍のあと」
...一瞬相手の顔にさつと漲る怒気はまるで鋭利な刃もののやうにおもへた...
原民喜 「飢ゑ」
...北海の唯ならぬかな漲るといふこと信濃川ばかりかは越後の寺泊で五月雨に降りこめられた時の歌...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...海さへ為にふくれ上つて信濃川の漲るやうな心持が北海の上にも見られた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...全體に漲る若々しい詠嘆的なところがわれながら懷しいので...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...この評伝の美しさ、漲る誠意と、その土台をなして実に活々と確かに歴史の現実の諸関係をつかみ出している科学者としての方法は、ミケルアンジェロの芸術の本質をはっきりと描き出しているのみならず、当時の複雑きわまる社会と芸術との活きた画が立体的に動的にくりひろげられてゆくその道すじに、人々の心におどろくような新鮮な実感をもって、今日の世の中や芸術のありように対する新たな目ざめを覚えさせて行く...
宮本百合子 「現代の心をこめて」
...光漲るなかに何と大きい精神の慰安が在ることでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...精悍の気が漲るというのも「眉宇の間」ですもの...
宮本百合子 「獄中への手紙」
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横瀬夜雨 「花守」
...あたりに漲る強い白光に眉のあたりが痛んで来た...
横光利一 「旅愁」
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