...そして空気に漲る騒擾と不穏の気配を...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...そのもくもくと漲るやうにわき出してゐる清水を眺めた...
田山花袋 「道綱の母」
...動脈の漲る音が高く明らかに鳴っている...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...大都市の冬に特有な薄い夜霧のどん底に溢れ漲る五彩の照明の交錯の中をただ夢のような心持で走っていると...
寺田寅彦 「初冬の日記から」
...内に漲る力、中から盛りあがってくる精神が、新たな建設には必須の条件である...
豊島与志雄 「神話と青春との復活」
...或は山江水漲る間を通して足利にいる...
長塚節 「草津行」
...漲る瘡蓋(かさぶた)模様のやうに...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...何故彼樣で御座りませうと言ひかけて思ひ出しの涙むねの中に漲るやうに...
樋口一葉 「十三夜」
...北海の唯ならぬかな漲るといふこと信濃川ばかりかは越後の寺泊で五月雨に降りこめられた時の歌...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...斯うした種々の気持は皆一まとめになって物音もしない熱気の漲る病人の小部屋にながれて行くのであった...
宮本百合子 「黒馬車」
...精悍の気が漲るというのも「眉宇の間」ですもの...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...苦しいまでに漲る気魄にわななきながら...
三好達治 「測量船」
...色セメントや色ペンキで近代様式の数寄(すき)を凝らした家並み……意匠の変化を極めた飾窓……往来に漲る光りの洪水……どよめき渡る電車...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...あたりに漲る強い白光に眉のあたりが痛んで来た...
横光利一 「旅愁」
...夕日に漲る海面を下にしたバルコオンで食事の支度を待つのだった...
横光利一 「旅愁」
...漲る雨水の中に立往生してしまうことなどもままあった...
吉川英治 「三国志」
...彼は風景全体に漲る言語に絶する偉大さを語り...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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