...僕は江東橋を越えるのにも一面に漲(みなぎ)つた泥水の中を泳いで行(ゆ)かなければならなかつた...
芥川龍之介 「本所両国」
...見る見る赤羽主任の面には輝(かがや)くばかりの喜色が漲(みなぎ)った...
海野十三 「電気風呂の怪死事件」
...その顔には隠し切れぬ不安が漲(みなぎ)っていた...
大阪圭吉 「坑鬼」
...已(すで)に席(たゝみ)を浸(ひた)し庭(には)に漲(みなぎ)る...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...その異常な昂奮は殺意が俺に漲(みなぎ)ったせいか...
高見順 「いやな感じ」
...ともかくその顔には争われぬ安堵の色が漲(みなぎ)っていた...
橘外男 「逗子物語」
...かうして歩いて来たことを見てもらへるといふ悦びが明かに漲(みなぎ)つてゐた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...三千代の顔はその予期の色をもって漲(みなぎ)っていた...
夏目漱石 「それから」
...構いません」八十五小林の顔には皮肉の渦(うず)が漲(みなぎ)った...
夏目漱石 「明暗」
...硝子(ガラス)の内には美しい灯(あかり)が漲って...
野村胡堂 「身代りの花嫁」
...冷えた指の先々まで漲(みなぎ)ってくるのだった...
橋本五郎 「地図にない街」
...漲(みなぎ)っているのが感じられた...
火野葦平 「花と龍」
...青い月光の漲(みなぎ)る砂漠...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...己の口一ぱいに血が漲るのを感じた...
アンリ・ド・レニエエ Henri de Regnier 森林太郎訳 「復讐」
...ここには何たる力が漲(みなぎ)っていることか...
柳宗悦 「工藝の道」
...体にも力が漲(みなぎ)るように思えた...
山本周五郎 「めおと蝶」
...凱旋門の無名戦士の墓を占拠しに襲って来る左翼を待ち構えている興奮がどの面面にも漲っていた...
横光利一 「旅愁」
...埃(ほこり)が黄いろく漲(みなぎ)っていた...
吉川英治 「親鸞」
便利!手書き漢字入力検索