...同時に又襖(ふすま)一重向うに咳(せき)一つしずにいる母のお鳥に何か漠然とした不安も感じた...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...漠然とした幼稚なものではあつたが...
石川啄木 「弓町より」
...彼の頭の中にある漠然とした物足らなさは...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...ただ漠然とした変り易い意見を有するに過ぎないであろう...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...四十二歳における死亡の確率が特別に多くはないという漠然とした結論が得られそうに見える...
寺田寅彦 「厄年と etc.」
...世界に対して人間が直接に感銘した処の漠然とした併し大体の輪郭の決った直観像という資格を有つこともあれば...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...もっと遠い他の漠然とした所にあった...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...漠然とした一種の匂い――雰囲気だった...
豊島与志雄 「叔父」
...漠然とした不安が彼女の心を襲った...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...彼は漠然とした恐れを懐いた...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...漠然とした友情よりもいかばかり深く...
中井正一 「美学入門」
...このどうにもならぬ漠然とした不安が...
中島敦 「狼疾記」
...即ち理想主義と言う言葉は、或る概念されたる、一の名目ある観念への理想を意味し、浪漫主義という言葉は、或る漠然とした、名目なきイデヤへのあこがれを意味している...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...この言葉はかなり漠然としたものであるが...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「マリー・ロジェエの怪事件」
...漠然とした不安が...
堀辰雄 「手紙」
...けだるく漠然とした疲労の...
山川方夫 「菊」
...例のとおり漠然とした勘によって釣糸をおろした...
山本周五郎 「青べか物語」
...ただ未だ見ぬ土地というものへの漠然とした憧れであったのか――...
蘭郁二郎 「宇宙爆撃」
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