...我等が茫漠として自ら空虚なるとき...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...水平線は漠として見えない...
梅崎春生 「幻化」
...彼女にくらべると私は実に茫漠として濁つてゐる事を感じた...
高村光太郎 「智恵子抄」
...まだ漠として何とも調べようがありません...
三上於菟吉訳 大久保ゆう改訳 「踊る人形」
...しかし漠として取止められないが...
長岡半太郎 「原子核探求の思い出」
...お内儀(かみ)さんの返事は漠として夢を掴(つか)むようで...
中里介山 「大菩薩峠」
...一切がただ茫漠として...
萩原朔太郎 「酒に就いて」
...死ぬる苦しみと云ふ事は孝次郎には漠としてとらへどころがない...
林芙美子 「雨」
...行手は茫漠として果しもないようであった...
原民喜 「忘れがたみ」
...茫漠としてとらえどころがないのである...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...謎々じゃ)お京の手紙は茫漠としていて...
火野葦平 「花と龍」
...御身のうちにあるものは凡て茫漠として平板である...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...「時祷詩集」のスタイルの頗る茫漠として殆ど無形なりしに反し...
堀辰雄 「リルケ年譜」
...遠く見はるかすと、漠として、しかもなかなか明瞭に、うす黒い線になってつづいていた...
本庄陸男 「石狩川」
...頭は恰でボール箱の如くに空漠として...
牧野信一 「爪」
...肝心の一番手近のはまだ何ともきまらずボー漠としているのに...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...老人の話は茫漠として取止めのない断片であって...
山本周五郎 「麦藁帽子」
...「――そうかなあ」彼は、漠(ばく)と、感動し、漠として、百姓以外の天地と生存を考え、青梨村の家へ、帰るまでに、「自分が生きるにも、人を生かすにも、百姓では駄目だ」と、己れへ結論を与えた...
吉川英治 「脚」
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