...此処も亦塵埃の漠々たるを見るのみ...
芥川龍之介 「北京日記抄」
...それを一寸外(はず)れると此の漠々たる密林の中には...
梅崎春生 「日の果て」
...まだ混沌(こんとん)漠々たる濃密な大気に閉ざされていた...
海野十三 「大宇宙遠征隊」
...ただそこには鴨居と敷居に区切られて漠々たる雲の動きがあるばかりだった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...漠々たる将来すなわち千有余年の後において...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...今はただ朦々漠々たる雲霧に四方をとざされているのである...
豊島与志雄 「高千穂に思う」
...期待したそれらが生憎(あいにく)漠々たる春靄に包まれて些とも姿を見せない位だから富士も丹沢山塊も奥秩父も多摩相模の分水方面も模糊として眠るが如き夢の幕に包まれている...
中里介山 「山道」
...漠々たる雪空の、赤石と思われるあたりをはじめ、四方の山々にも頭をさげて、はかない筆の跡を留めた画布を背に、気もそぞろに峠を上り下ったが、いつも山を去る時の、感謝と共に深い恨を残すこの心持ちほど、耐え難いものはない...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...挨拶が漠々たると共に...
夏目漱石 「虞美人草」
...虧けた三日月が漠々たる夜空に高く昇っておりましたから...
西尾正 「墓場」
...漠々たる浮世だ...
林芙美子 「新版 放浪記」
...薄黒い鎮守の森も――ただ漠々たる三態の雲に見へ...
牧野信一 「歌へる日まで」
...もの静かなる漠々たる明朗さに一切の疑惑と妄迷を呑み込んだ The Lethe(もの忘れ河)となつて...
牧野信一 「バラルダ物語」
...花粉が濛々たる煙のようにまた漠々たる雲のように飛んで来るのならイザ知らぬこと...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...あべこべに漠々たる暗雲が十重二十重に...
正岡容 「小説 圓朝」
...一望漠々たる砂漠を息のあらん限り走っては倒れ...
夢野久作 「実さんの精神分析」
...漠々たる灰色は無限の空を覆うて...
吉江喬松 「山岳美觀」
...漠々たる馬煙(うまけむり)が立昇って来るのが見えたので...
吉川英治 「三国志」
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