...父の寝床のほうからかすかな鼾が漏れ始めた...
有島武郎 「親子」
...屋根からともなく囲いからともなく湯気のように漏れた...
有島武郎 「カインの末裔」
...よく気をつけて見ると砂糖水のやうな小さな滴りが時々漏れ出してゐるのが見えます...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...そちらから開きませんか」その声がドアを漏れて幽(かす)かに聞えて来たが...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...謡のけいこの声が漏れる...
高浜虚子 「丸の内」
...いづれ浮世には漏れざりけり...
高山樗牛 「瀧口入道」
...そのおりおり武男の留守をうかがいて川島家に往来することのおぼろにほかに漏れしころは...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...この八畳の間は日影も漏れぬ死囚牢(ろう)になりかわりたる心地(ここち)すなり...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...敷居のところから漏れてくるらしいある臭気に打たれた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...下方に水の漏れる穴でもあったのか...
豊島与志雄 「絶縁体」
...そこは上手の手からも水が漏れるので...
中里介山 「大菩薩峠」
...灯の漏れる部屋の外へ廻りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...障子のない窓を漏れて寒々と尼の項(うなじ)を照します...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...嚴重な表情の間を漏れて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...彼女は声が室外に漏れないように気を配って...
平林初之輔 「悪魔の聖壇」
...泣き声は吉里の口から漏れて...
広津柳浪 「今戸心中」
...映写機から漏れる光りを浴びて...
牧野信一 「交遊秘話」
...この例に漏れることができない...
三木清 「認識論」
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