...実に家康も英雄色を好むの古則に漏るる能はじ...
芥川龍之介 「大久保湖州」
...天幕を漏る雨滴や...
石川欣一 「可愛い山」
...竹藪(たけやぶ)を漏る蒼空(あおぞら)ながら...
泉鏡花 「悪獣篇」
...樋(ひ)を掛けて漏る雨を受けて...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...十口坊駄句りて曰く、次の馬車待つ山驛の秋しめり裸男は傘をさゝぬつもりにて、ゴム引きのマントを被りたるが、古びたる事とて、雨漏る...
大町桂月 「上州沼田より日光へ」
...如何なる純忠誠徳の士も決してこの原則に漏るる能(あた)わざるなり...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...唇(くちびる)をまれに漏るる歯はまばゆきまで皓(しろ)くみがきぬ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...あたかも水が指の間から漏るように...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...隙(ひま)漏る風に手燭の火の揺れる時怪物のようなわが影は蚰蜒(げじげじ)の匐(は)う畳の上から壁虎(やもり)のへばり付いた壁の上に蠢(うごめ)いている...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...譬えて見れば雨の漏る古家か虫の喰った老樹の如きものであろう...
永井荷風 「砂糖」
...雨の漏るたび壁は落ち柱は腐って行きながら古家は案外風にも吹き倒されずに立っているものである...
永井荷風 「砂糖」
...軈て「大鷦鷯(おほさゝぎ)高津の宮は雨漏るを葺かせぬことを民は喜ぶ」の歌を例に出して...
長塚節 「竹の里人〔三〕」
...破れ障子を漏るる灯だけが...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...隙間漏る月の光が...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...木の間を漏るる真昼の陽は...
野村胡堂 「向日葵の眼」
...新しいこけら葺(ぶき)から雨の漏る長屋である...
森鴎外 「金貨」
...月は洩れ雨は漏るなという古歌にもある通り...
柳田国男 「雪国の春」
...洋傘がしきりに漏る...
若山牧水 「熊野奈智山」
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