...此等の愛憎や喜悲は我等の生活を刻々に新たなる境涯に漂はしめ...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...愛嬌のある乱杭歯とで上べツ面のやうな微笑を漂はしながら...
有島武郎 「骨」
...妙な笑を口元に漂はしながら竹山の顔を見た...
石川啄木 「病院の窓」
...妙な笑を口元に漂はしながら竹山の顏を見た...
石川啄木 「病院の窓」
...其の緑の草木が炭になつて消え失せるまでそれをあちこちと漂はした...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...卓(つくゑ)の上には真紅(まつか)な花が酒のやうな甘つたるい香気(にほひ)を漂はしてゐた...
薄田泣菫 「茶話」
...低く地平線に接しては煙の如き横雲を漂はしたる田圃(たんぼ)を越え...
永井荷風 「江戸芸術論」
...蠅は旅籠屋や牛小舎に結構な匂ひを漂はし日の当つた床からは蝋を鱈腹詰め込むのだ...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...緑(みどり)のなかに漂はして安らかに眠りたい位である...
夏目漱石 「それから」
...実に芸術の崇高的厳粛性を漂はして...
萩原朔太郎 「ラヂオ漫談」
...燒芋屋の湯氣が甘い匂ひを漂はし...
室生犀星 「京洛日記」
...何者かの惡相を漂はしたもののやうな氣がして...
室生犀星 「渚」
...湖水は眠るでもなく、目醒めてゐるでもなく、湖面全體から、一種のなごやかな樂の音をたてゝ光りと溶けあひ、人の心をその中へ卷きこみ、伸ばし、漂はしめる...
吉江喬松 「山岳美觀」
...歡樂のたゞ中へ一脈の哀愁を漂はし...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...また戰爭をやりさうな氣配を漂はしてゐる...
吉川英治 「折々の記」
...社會がこの樣相を漂はしてゐる限り...
吉川英治 「折々の記」
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