...あたしたちの習った編物(あみもの)じゃ下宿代も満足に払われはしないわ...
芥川龍之介 「文放古」
...また今にして早くそを知らむとする程小成の満足に齷齪(あくせく)たるものに非ざる也...
石川啄木 「閑天地」
...どうやら満足に歌えるのは「君が代」一つくらいのものであったが...
太宰治 「惜別」
...いやしくも死の戒告に背き死の裏附けのない直接的生の満足に連なるものは...
田辺元 「メメント モリ」
...だから満足に赤門式な教育を受けていたら今頃は至極ボンクラなプロフェッサアかなにかになっていたのかも知れない...
辻潤 「ふもれすく」
...妙なことにこの遂げられた希望の満足に関する記憶の濃度のほうが...
寺田寅彦 「映画時代」
...その結果はとうてい満足にはゆかなかったが...
ドイル Arthur Conan Doyle 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...長いあいだ満足に足腰を伸ばしたこともない...
徳田秋声 「黴」
...満足に体を包むこともできやしない! ひどいぼろぼろだ……あの女はこれをことごとく見て取るわけだ...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...写真に出ている顔は満足に私に似ているのがないので...
林芙美子 「落合町山川記」
...何も満足に出来ない私である...
林芙美子 「新版 放浪記」
...慚愧と後悔のために満足に歩くことさえ出来なくなってよろよろとベネディクトの洞窟の中へよろけ込み...
久生十蘭 「葡萄蔓の束」
...満足に子供の名ひとつつけられず...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...――わしに、今日、満足に、舞台がつとまろうか? その三斎という人間を、同じ屋根の下に見ながら、落ちついて、技が進められようか?彼は魂の底に、日ごろ信心の、神仏をさえ念じる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...たとえ満足に行かなくとも...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...我々は我々の満足に何が必要であるかについて...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...我々島に住む者の満足には変りはない...
柳田国男 「海上の道」
...何もかも満足に備わっているであろうか...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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