...僕はこう云う彼等の不幸に残酷な悪意に充ち満ちた歓びを感じずにはいられなかった...
芥川竜之介 「歯車」
...娘は動いていた訳ではないが、その全身の感じが、肉眼で見た時とは、ガラリと変って、生気に満ち、青白い顔がやや桃色に上気し、胸は脈打ち(実際私は心臓の鼓動(こどう)をさえ聞いた)肉体からは縮緬の衣裳を通して、むしむしと、若い女の生気が蒸発して居る様に思われた...
江戸川乱歩 「押絵と旅する男」
...正造の教唆煽動から出たものだ」こうして政界に充満してきた中傷は...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...外に少しぐらい不満足なところがあっても...
谷崎潤一郎 「細雪」
...不安とも不満ともつかない気持になって...
豊島与志雄 「白い朝」
...そんなものだけで満足してようとは思えなかった...
豊島与志雄 「立枯れ」
...そして杯に酒を満たしながら...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...益満が「まま、こういう喧嘩なら、大したことはあるまい...
直木三十五 「南国太平記」
...かくの如く脆弱(ぜいじゃく)にして清楚なる家屋とかくの如く湿気に満ち変化に富める気候の中(うち)に棲息(せいそく)すれば...
永井荷風 「浮世絵の鑑賞」
...丸山勇仙の死体は拾い起して見ると――これは五体満足ではあるけれども...
中里介山 「大菩薩峠」
...尋常な友達に満足して...
夏目漱石 「坑夫」
...彼らはそれでも満足せずに...
蜷川新 「天皇」
...二十年間の講演は、思わぬところに実を結んで、何かの席で逢った会社の重役が、昔の聴講生であったり、満員電車の中で、ふと立ち上がって席をゆずってくれた人が、「むかし、レコードの話をききました」と、言ってくれたこともある...
野村胡堂 「胡堂百話」
...やがて満洲の方から便りを寄越すようになった...
原民喜 「翳」
...座へ行く、売切の満員だが、席にはまだ客が揃はず、それに「ロッパ従軍記」がつまらず、客は食ひつき損った...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...生きるに生きがたい死を敢てする若い竹内数馬の苦痛に満たされた行動は...
宮本百合子 「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」
...わたくしに言いたいことを仰有(おっしゃ)ったあとの満足さでかがやいていられました...
室生犀星 「玉章」
...満洲にある同じ名の廟の中でも...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
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