...暗くして湿りたり...
饗庭篁村 「良夜」
...重苦しく蒸熱くいやに湿り気をおんだ...
伊藤左千夫 「大雨の前日」
...湿り気(け)を含んだランプの光の下に浮藻(うきも)的生活のわれわれは食事にかかる...
伊藤左千夫 「水籠」
...三和土の上が湿りを帯びていながら...
海野十三 「ゴールデン・バット事件」
...ふやけた土の湿りに根を下した木の性質は...
薄田泣菫 「独楽園」
...豆屋の鈴の音も湿り気を含んでいた...
徳田秋声 「新世帯」
...病みさらぼへたこの肉身を湿りたるわくら葉に横たへようわがまはりにはすくすくと節の間(ま)長き竹が生え冬の夜の黒い疾い風ゆゑに茎は戛々の音を立てる節の間長き竹の茎は我が頭上に黒々と天蓋を捧げ網目なすそのひと葉ひと葉は夜半の白い霜を帯びいとも鋭い葉先をさし延べわが力ない心臓の方(かた)をゆびさす...
富永太郎 「横臥合掌」
...朝なれば風は起ちて 湿りたる柳の葉末をなぶり...
富永太郎 「無題」
...その藪(やぶ)は黒ずみ湿り棘立(いらだ)ちおののいて...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...土なほ湿りたる暁方(あけがた)...
永井荷風 「向嶋」
...薄湿りの大地の上に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それが湿りを多少危険過ぎるくらいに心地よいものにしたのだ...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「群集の人」
...秋の末らしく湿り...
宮本百合子 「毛の指環」
...「湿りけのある今日の空気が香の試験に適していると思いますから」と言いやられたのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...湿りを食いあるいていた...
室生犀星 「後の日の童子」
...薄い唇(くちびる)は活(い)き活(い)きと赤く湿りをもってきた...
山本周五郎 「青べか物語」
...ところがです」泰三は舌に湿りをくれ...
山本周五郎 「思い違い物語」
...湿りのない炎熱の日が一月以上も続いた後であった...
和辻哲郎 「樹の根」
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