...今となっては意気地(いくじ)のない姑息手段(こそくしゅだん)としか思われませんでした...
芥川龍之介 「疑惑」
...しかし今となっては何事も全て遅いのだ...
海野十三 「三角形の恐怖」
...人間愛欲の争闘もあれ! 死んだ今となっては...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...今となっては城中の者の眼をかすめて忍び出ることは困難でない...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...もう今となっては...
近松秋江 「霜凍る宵」
...今となっては容易に分析することが出来ないようになってしまっているように思われる...
寺田寅彦 「短歌の詩形」
...今となってはそのばかなこと一つだけが...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...身体のことなんか自然に任せておけばよいので、ただ生きていて……そして働いてさえおれば……というのが彼女の平素の主張で、医者にかかることなどは贅沢となる、その贅沢が、今となっては、小泉のところへ――診察は第二として――中江と二人で行くという、或る物珍らしさのために、解消された形だった...
豊島与志雄 「立枯れ」
...今となっては、死ぬにも死ねず、この生きたぬけがらを、昔の人に遇わせることが、あまりといえば浅ましい...
中里介山 「大菩薩峠」
...そうして、あなた様は、どちらへお越しなのでございますか」「さあ、わたしとしたことが、館(やかた)を出る時には確かに目あてがあって出て来たのですが、今となっては、どこへ行きましょうか、どこへ行かねばならないのか、それもわからなくなってしまいました」「城南に行かんとすれば南北を忘る――というところですね」「いや、そうではありませんでした、月に乗じて、わたしは近江の湖畔まで行って見るつもりで出て参りましたのです」「湖畔ですか、つまらないじゃありませんか、もう少し変ったところへ出て見たいとお考えにはなりませんか」「さあ、変ったところと言いましてもね、あれから舟を湖中に浮べて湖上の月を見るとか、竹生島詣でをして島の月をながめるとかいった程度のものでございましょう」「そういうことは誰もやっておりますし、誰にもやれないということのない風流なのです、あなたとしては、もう少し規模の変った風流を遊ぶ気にはなれませんか」「とおっしゃっても、風流というものの程度も、種類も、大抵きまったものではありませんか、土地を換え、仕方を変えてみましたところで、新月が円く見えるわけのものでもなし、月の色が変って見えるというわけのものでもなし」「さあ、天界と風土は、たいてい変らないものですけれど、人界のことは大変りです、もう少し変った人間社会のことに、風流を味わってみるお考えはございませんか」「有りますとも...
中里介山 「大菩薩峠」
...至極イキの合う先生ではあるが、今となっては、自分を知っている人のすべてに会うことを、悪意でなく、避けたがっている...
中里介山 「大菩薩峠」
...先刻までは邪魔にした家来ですが、今となっては、この名臣を手放すわけには行きません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二年目の今となっては...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――お六が死んだ今となっては...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「今となっては役に立たない...
長谷川伸 「奇術考案業」
...折角の聞を潰(つぶ)してしまうは惜しいから今となっては遼東の豕かも知れぬが筆し置く...
南方熊楠 「十二支考」
...正銘の祖先崇拝は今となっては行い得ず...
南方熊楠 「十二支考」
...それだけに、今となっては、切っても切れない君と家人(けにん)のあいだがらにもなっていた...
吉川英治 「源頼朝」
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