...聖ジェロームが彼を慰めんために「他の良人(りょうじん)は彼等の妻の墓を飾るに菫菜草(すみれそう)と薔薇花(ばらのはな)とを以てするなれど我がパマカスはポーリナの聖なる遺骨を湿(うるお)すに慈善の香乳(こうにゅう)を以てすべし」と書送りしは蓋(けだ)し余が余の愛するものの墓において心に聞きし声と均(ひと)しきものならん...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...空気は湿った土の香りを含んでいた...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 海野十三訳 「まだらのひも」
...そこらの湿地に立っている...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...長々湿っていた樹木の皮からほかほかと水蒸気がたち上った...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...大気は湿っぽく雷鳴が催していた...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「作男・ゴーの名誉」
...埋めて、大して日の経たぬ土は、湿っていたし、柔かくもあった...
直木三十五 「南国太平記」
...方向の定まらぬ湿つぽい風が...
永井荷風 「来訪者」
...ただ水素原子に衝突すると停止する性質があるので、水、湿った土、パラピンではさえぎられる...
永井隆 「長崎の鐘」
...燃やして棄てた麦束は此の間の儘ぐつしよりと湿つて居る...
長塚節 「隣室の客」
...この辺には珍らしい小湿原で...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...打ち湿った様子で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...薄湿(うすじめ)りの夜の大地の冷えが膝(ひざ)に伝わりますが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...脚部を酒の雫(しずく)で湿布したりして行手の径のための大事をとった...
牧野信一 「ゼーロン」
...右の湿地を抱いている...
牧野富太郎 「火の玉を見たこと」
...だから実際上池のくるみと云ふ旧噴火口の湿原の周囲をとりまく高みと噴火口湿原そのものとを合併して霧ヶ峯と云ふべきなのである...
正木不如丘 「釣十二ヶ月」
...『風土記』には「湿地をウダという」とある...
柳田國男 「地名の研究」
...幾らか湿っているように思えた...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...今はもう黒くなって湿(しめ)っていた...
リットン Edward George Earle Bulwer-Lytton 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
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