...ひとりその店にて製する餡(あん)、乾かず、湿らず、土用の中(うち)にても久しきに堪えて、その質を変えず、格別の風味なり...
泉鏡花 「一景話題」
...「もっと陰湿なものだと僕は思っていた」それは栄介も感じている...
梅崎春生 「狂い凧」
...天金は塵埃と湿気とへの防備として案出せられた...
高村光太郎 「装幀について」
...この湿熱と荒涼と長雨とではみんなまったく変わってしまうのだ...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...それだから風のない雲のないそして湿気の多い晩に露が多い訳である...
寺田寅彦 「歳時記新註」
...湿つた空気のそよとも動かぬ部屋の中で...
中島敦 「夾竹桃の家の女」
...本当の蒸発量は、気温、風、湿度、日射などによって著しく変化する...
中谷宇吉郎 「琵琶湖の水」
...景色(けしき)は晴れがましいうちに湿(しっ)とりと調子づいて...
夏目漱石 「坑夫」
...裏は野とも畠(はた)とも片のつかない湿地であった...
夏目漱石 「道草」
...それに生湿(なまじめ)りの土が付いていたから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そこは無数の赤ん坊の放り込まれた、お前の今まで楽しんでいた墓場の、腐屍の臭よりも、もっと臭く、もっと湿っぽく、もっと陰気だろうよ...
葉山嘉樹 「牢獄の半日」
...雨は弱まったが、湿っぽく、寒くて暗かったので、伽藍の中はほとんど見られないだろうが、きっとそこで、冷たい敷石の上に長いあいだ立たねばならないため、自分の風邪はきわめて悪化するだろう、と思われた...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...加密爾列(カミツレ)の煎汁と樟脳の湿布を頬にあてていた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...部分的には土地が自然的に湿地であり多数の運河があるからなのであり...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...うつむけた顔は、一めんに、湿(ぬ)れて、熱いものが、あとからあとから、きちんと並べて坐った膝の上に、ぼとりぼとりと落ちつづけた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...今年はこんなに湿度高いのに...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...いつも湿気が絶えなかった...
山本周五郎 「山彦乙女」
...櫓臍(ろべそ)へ湿(しめ)りをくれた宅助...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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