...肌寒い空気が湛えている...
豊島与志雄 「奇怪な話」
...それらの絶望が如何にほのぼのとした明るみを湛えていることを大抵は感ずる...
豊島与志雄 「今日の条件」
...水は川にも田にも満々と湛えている...
豊島与志雄 「霧の中」
...心持ち狭くて淋しみを湛えていた...
豊島与志雄 「小説中の女」
...何処から射(さ)すともない明るみが一杯に湛えていた...
豊島与志雄 「生あらば」
...奥深い色を湛えてるとか...
豊島与志雄 「田園の幻」
...対象なしに独自的に存在するある思想が――静に湛えている...
豊島与志雄 「女客一週間」
...晋作は薄ら笑いを湛えて答えた...
豊島与志雄 「白血球」
...妖しいとも言える一徹なものを湛えている...
豊島与志雄 「一つの愛情」
...瞳の光りと眼尻の皺のなかに深々と湛えていました...
豊島与志雄 「未亡人」
...人間離れのした冷酷さを湛えて...
中島敦 「牛人」
...不思議に変らぬ一つの相を湛えていたし...
原民喜 「忘れがたみ」
...朧気ながら髪の厚い輝やかしい面が微笑を湛えて見えたり隠れたりした...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...いま友を見る眼つき表情はなごやかに温たかい色を湛えていた...
山本周五郎 「落ち梅記」
...いつも眼に微笑を湛えているという感じだった...
山本周五郎 「末っ子」
...海は藍碧を湛えてかすかに傾き微風にも動かぬ一抹の雲の軽やかさ...
横光利一 「旅愁」
...暫く微笑を湛えて黙っていた...
横光利一 「旅愁」
...それと自分の立っている金精峠との間の根がたに白銀色に光って湛えているのは湯ノ湖であった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
便利!手書き漢字入力検索