...それは初夏のもの悩ましい壮(わか)い男の心を漂渺(ひょうびょう)の界に誘(いざの)うて往く夜であった...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...その欄干の前(さき)には月にぼかされた湖の水が漂渺(ひょうびょう)としていた...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...縹渺としてはゐるけれども...
谷崎潤一郎 「純粋に「日本的」な「鏡花世界」」
...いかに縹渺(へう/″\)としてわが耳に入(い)り...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...平滑な水の面は油を流したやうにのんびりとして沖の方はたゞ縹渺と白く煙つてゐる...
近松秋江 「湖光島影」
...渺々の海打ち渡り故郷に歸り去らんとや!かくして彼らプリアモス又トロイアに戰勝の 160譽れ並にアルゴスのヘレネー殘し去るべきや?あゝ此の女性の故を以つてアカイア人の幾萬は...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...渺(びょう)たる宇宙に比して...
中井正一 「美学入門」
...渺茫(びょうぼう)たる大河の上に泛(うか)んでいる...
永井荷風 「放水路」
...側は漂渺(ひょうびょう)たる隅田の川水青うして白帆に風を孕(はら)み波に眠れる都鳥の艪楫(ろしゅう)に夢を破られて飛び立つ羽音(はおと)も物たるげなり...
永井荷風 「向嶋」
...そこに縹渺(ひょうびょう)として...
中里介山 「大菩薩峠」
...遥か向うの平野に雲煙縹渺(うんえんひょうびょう)たるところ...
中里介山 「大菩薩峠」
...渺(びょう)たる蒼海の一粟(いちぞく)...
中里介山 「大菩薩峠」
...縹渺(ひょうびょう)よるべなき郷愁の悲哀の中に...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...渺々(びょうびょう)としておるので――真の...
長谷川時雨 「朱絃舎浜子」
...漂渺たる神韻漸くにして高まつて...
羽田亨 「賢所御神樂の儀」
...縹渺(ひょうびょう)と...
吉川英治 「三国志」
...探し出す偽筆の名人と印刻師(いんこくし)のこと水は渺々(びょうびょう)...
吉川英治 「新・水滸伝」
...神韻縹渺(しんいんひょうびょう)として...
吉川英治 「宮本武蔵」
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