...生温かい夏の夜風が絶間もなく煽立てる...
石川啄木 「散文詩」
...たゞ温かい寝床がなくてはならない...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...しかしその風も、風が當るといふだけで、生温かい...
海野十三(佐野昌一) 「南太平洋科學風土記」
...お酒とそれから何か温かいたべものを用意して置いてくれ...
太宰治 「未帰還の友に」
...ステイムと酒の香の温かい床(フロア)に「触れ(タッチ)」を与えながら...
谷譲次 「踊る地平線」
...彼女はもつと温かい脂(あぶら)ツこいものが好きなので...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...また湿気を帯びた温かい風が森や山腹の冷たい処に触れる場合や黒潮と親潮が出会うて温かい空気と冷たい空気が混ずる場合などにも起る...
寺田寅彦 「歳時記新註」
...温かい涙は頬を伝わって流れた...
豊島与志雄 「意欲の窒息」
...温かい文化を愛するこころを集めなければならない...
中井正一 「図書館法の成立」
...露子が温かい春のような顔をして余を迎える...
夏目漱石 「琴のそら音」
...生温かい午後の陽ざしに...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...自然な温かい気持ちになり...
林芙美子 「新版 放浪記」
...もっと深い胸の奥の方では静かに温かいものがまだ彼を支(ささ)えているようにおもえた...
原民喜 「死のなかの風景」
...あたたかく柔らかい母の手と同じように血のかよっている肉の温かい家をしのび出ることはむずかしい事だった...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「琴」
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室生犀星 「愛の詩集」
...瓶(びん)のなかの温かい乳を...
室生犀星 「童子」
...私は日本がいつも正しく温かい日本である事を希(ねが)う...
柳宗悦 「朝鮮の友に贈る書」
...彼女に冷たい故郷の風からそッと温かい陽なたへ根を移そうとした育ての思いやりであったろう...
吉川英治 「新書太閤記」
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